京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ルポ京滋ものづくり
インデックス

車の「心臓」組み立てる

三菱自動車工業パワートレイン製作所京都工場 京都市右京区
エンジンを組み立てる従業員たち

 ゆっくりと流れるエンジンの組み立てライン。従業員が手際よくボルトを締めていく。「組み立ての品質で最も大事なのは締め付けです」と内田直樹第一エンジン課長は説明する。締め付けが弱いとエンジンの耐久性が下がり、強過ぎるとねじが切れたり部品が曲がったりする。だから、工程ごとに決まった力で締めるレンチを使用。細心の注意で自動車の「心臓」を組み立てる。
 2000年、04年と三菱自動車のリコール問題が続き、品質の信頼低下に苦しんだ。だからこそ「信頼は品質で取り戻す」と小山裕二副所長は強調する。
 三菱自動車の車体はつくらないが、エンジンの基幹工場だ。昨年度は、最新鋭のクリーンディーゼルエンジン(排気量1・8〜2・2リットル)を海外向けに約5万台分製造するなど、国内外にガソリンエンジンも含め計21万8千台分を生産。トランスミッションは、三菱自の同製造事業を統合したジヤトコ(静岡県富士市)が工場棟をそのまま使って生産している。
 1944年、三菱重工業の京都機器製作所として発足。46年、小型3輪トラック向けにエンジン製造を開始した。パワートレイン製作所の名称に変わったのは2003年。京都工場と同様にエンジンをつくる水島工場(岡山県倉敷市)、滋賀工場(湖南市)の3工場を「パワートレイン製作所」として部門統合した。3工場の技術交流が狙いで、「ものづくり技術の情報共有が進んだ」(小山副所長)。
 3月11日の東日本大震災では、宮城県の部品メーカーが被災した影響でエンジン数種類が生産できず、電子部品も不足した。本社や車体工場など5拠点でテレビ会議を連日行い、2日先の生産計画を調整。5月上旬には平常操業に戻せたという。
 三菱自は09年に電気自動車(EV)アイ・ミーブの量産販売を開始。競合社によるハイブリッド車などの需要も高まり、電池やモーターが自動車の主要駆動部になりつつある。ただ、ハイブリッド車ではエンジンが補助駆動部として使われることもあり「エンジンの必要性は当面はなくならない」(小山副所長)。海外エンジン生産のマザー工場として、タイ工場などから研修生を受け入れ、ものづくり技術の向上に努めている

メモ

京都工場で生産する海外向けクリーンディーゼルエンジン
 三菱自動車工業パワートレイン製作所京都工場 1944年、三菱重工業の京都機器製作所として発足。46年、小型3輪トラック用エンジン生産開始。70年、三菱重工から分離、三菱自動車工業京都製作所に改称。85年、エンジン生産1千万台達成。2003年パワートレイン製作所京都工場と改称。面積29万平方メートル。従業員約1200人。

【2011年8月22日掲載】