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1本ずつ手作業で点検

ブリヂストン彦根工場 彦根市高宮町
出来上がったタイヤを1本ずつ点検する作業員

 彦根市郊外に広がる65万平方メートルの敷地に、ブリヂストンの国内最大工場がある。新車用のタイヤを中心に製造し、関連会社を含め約2千人が働く。4班3交代制で1日5万本超を生産する。
 タイヤはゴムの塊ではなく、多数の部材を複雑な工程で合わせたものだ。彦根工場ではタイヤの骨格となる繊維コードの生産設備を敷地内に構えており、糸1本から一貫した生産体制を敷く。
 ゴムを練る工程から始まる。天然ゴム、合成ゴムにカーボンブラック(炭素の微粒子)、硫黄などを混ぜ合わせ、板状に伸ばし、路面に接するトレッド部やサイド部を作る。これとは別に、ナイロンやポリエステルなどの原糸をより合わせたひも状のコードを、すだれ状に織り上げ両面にゴムを圧着した部材や、スチールベルト、ワイヤの束をゴムで包んだリング状の部材を作る。
 これらすべて部材を一体成型する工程では、手作業で組み合わせて微調整する繊細な技も必要だ。
 こうしてできるのが生タイヤだ。釜のような金型に入れ、熱と圧力を加えて硫黄に化学変化を起こさせると、剛性、弾性が高まり製品として安定する。金型には種類ごとに異なる溝が彫られ、出来上がったタイヤにも溝ができる。出来上がりを見る検査工程でも、検査員が1本ずつ点検する。
 彦根工場は2006年からコージェネレーション(熱電併給)システムを導入。電力と蒸気を工場に供給して熱効率を高め、二酸化炭素の発生を減らす。環境保全活動にも力を入れており、地域住民ともに琵琶湖や地域の河川を守る自然観察会も開いている。
 彦根工場長の矢ア進中日本生産本部長は「タイヤが転がる時に発生する転がり抵抗を軽減する低燃費タイヤに力を入れている」といい、「省エネや廃棄物削減、臭い対策などに配慮しながら、環境タイヤを供給するという責任感と誇りをもって仕事をしている」と胸を張る。

メモ

完成したタイヤは、サイズや種類ごとに自動で振り分けられ、棚に収納されていく
 ブリヂストン彦根工場 1968年、同社国内4番目のタイヤ工場として操業。主に中部・関西エリアの自動車メーカーで組み立てられる新車向けに供給。面積65万7千平方メートル。従業員約1600人、関連会社を含めると約2千人。

【2011年9月26日掲載】