京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ルポ京滋ものづくり
インデックス

端子や極板 細部に工夫

GSユアサ産業電池工場 京都市南区
鉛蓄電池の端子部を樹脂で封をする従業員。改善活動で大幅に作業効率が高まった(京都市南区)
 工場内に足を踏み入れると、わずかに鉛臭が漂う。前身の日本電池を創業した2代目島津源蔵が1920年に発明したという鉛粉製造機などの稼働音が響き、話し声をかき消す。
 携帯電話基地局などの非常用電源を生産する産業電池生産本部の主力工場。組み立てラインでは、非常用電源となる鉛蓄電池の端子部に作業員がパイプのノズルを向けていた。機密性を高めるため樹脂を流し込んで封口する作業で、次々に手際よく進められる。最後の充電工程は、発熱による品質劣化を防ぐため複数の蓄電池を水槽に並べて行っており、今夏の関西電力の節電要請には充電時間をずらすなどして対応した。
 70年近い工場の歴史は工程・作業の工夫と改良の積み重ねでもある。2009年度からは日本科学技術連盟(東京都)の「TQM(総合的品質管理)奨励賞」を目指し、品質向上と原価低減の活動を強化している。以前、端子部の封口は樹脂製造機から専用容器に樹脂を移して行っていた。少量多品種のため自動化しにくかったためだが、現場作業員が製造機から直結するノズルで封口する手法を提案した。容器の手入れ時間などが省け、一連の作業時間は半減したという。
 また、極板製造工程では、硫酸と添加剤を加えた鉛粉ペーストを鋳造格子に押し付ける際、ローラー側に鉛粉が付かないように工夫を凝らした。こうした活動の結果、今年11月に電源システム生産本部に次ぐ同賞受賞を果たした。
 産業電池生産本部の村尾修本部長は、従来の改善活動について「経営課題とのつながりがよく分からない場合もあった」と課題を指摘。「上下の方針のすり合わせを徹底することで、現場第一線の改善活動と経営課題のつながりが分かるようになり、生産現場のモチベーションも上がった」と力を込める。
 TQM奨励賞は、TQMに関する世界最高位のデミング賞の登竜門とされる。村尾本部長は「3〜5年後にデミング賞挑戦の可能性も探っていきたい」と話す。

メモ

フォークリフトや通信基地局などに用いられる鉛蓄電池
 GSユアサ産業電池工場 1943年に完成した日本電池(現GSユアサ)本社工場(約20万平方メートル)内にある。産業電池生産本部の工場はほかに福知山市、神奈川県小田原市、茨城県北茨城市にもあり、2010年度末の従業員は413人。

【2011年12月05日掲載】