京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ルポ京滋ものづくり
インデックス

出来たて優しく手際よく

おたべ京都本社・工場 京都市南区
出来たての「生八つ橋」を手際よくトレーに乗せていく従業員(京都市南区)
 ローラーで伸ばされた生地がベルトコンベヤーで整然と進む。生地は正方形に切り分けられ、つぶあんを乗せると自動的に三角形に折り畳まれる。看板商品「つぶあん入り生八つ橋『おたべ』」の出来上がりだ。
 次々に流れてくる商品を従業員が5個ずつ手際よくトレーに置いていく。出来たてはとても軟らかい。優しく、かつスピーディーに。森川昌樹工場長(52)は「そっと取り上げることが大切。熟練度を要し、オートメーション化できない作業」と話す。見本写真を見ながら、きな粉のかかり具合も確認する。その後も、金属探知機や重量のチェックを経て密封包装で送り出されていく。
 京都工場は本社本館の2階に設けられ、成形ラインは三つある。定番のニッキや抹茶味をはじめ、黒豆や栗きんとんを使った季節商品、昨年9月発売のみたらし味などを製造。出来たてを早く店頭に置くため、生地作りを午前3時に始め、成形ラインは午前5時から稼働させている。紅葉シーズンで京都への観光客が多い11月が製造のピークで、1日30万個を作るという。
 原料にこだわり、若狭工場(福井県若狭町)で同県産コシヒカリを玄米で仕入れ、精米、製粉している。小豆は北海道産。水は日本名水百選に認定された若狭の「瓜割の水」を使う。「軟水で粒子が細かく、デンプンに浸透しやすい。無味無臭でニッキなど素材の味を引き立て、米の風味も残る」(森川工場長)。砂糖は北海道産サトウダイコンを原料とし、社員が生産農家に研修に行くことも。生産者との交流を通じて原料や商品の知識を深めている。
 安心安全な商品を提供するため原料の産地を明確にすることに加え、「5S(清潔、整頓、清掃、整理、しつけ)」を基本に衛生管理を徹底する。工場が2階にあるのも防虫・防草のためだ。食品の安全衛生管理の構築や強化支援を行っている機関「AIB(米国製パン研究所)」の審査を毎年受け、最優秀の評価を得ている。
 森川工場長は「一つ一つをしっかり行うことが安心安全につながる。同じ商品でもさらに良くする思いを持ち続けたい」と力を込める。

メモ

黒ゴマ、みたらし味など多彩なバリエーションを製造販売している(別館売店)
 おたべ京都本社・工場 2005年に建て替えられ、工場は延べ約3200平方メートル。10年には約4万人が見学に訪れた。本館1階にはバームクーヘンやロールケーキなどを作る場所もあり、別館は売店。「おたべ」は1966年に販売を開始。京都、若狭、東京の3工場あり、従業員は約520人。

【2012年01月16日掲載】