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滋賀経済産業協会 坂口康一会長

近江商人魂で海外進出
 さかぐち・こういち 関西大法学部卒。1968年に鍛造部品メーカーの近江鍛工(大津市)入社。71年から社長。2007年、経済産業省から「元気なモノ作り300社」の選定を受ける。09年から滋賀経済産業協会会長。現在、滋賀環境ビジネスメッセ実行委員会会長など。大阪市出身。66歳。

 景気回復が遅れ、中小企業の経営環境は厳しさを増している。滋賀経済を支える中小企業が進むべき道は。滋賀経済産業協会の坂口康一会長は、グローバル化の進行を見据え、中国などアジアの需要を取り込む重要性を指摘した。

 −景気は足踏み状態にあるが、地元製造業の状況は。
 「2008年秋に『リーマン・ショック』という津波が押し寄せ、09年は厳しかったが、昨年の業況はかなり戻った。中国が国内投資を続けているためだ。現在も中国向けは仕事量がある。だが為替の円高と国際競争の激化で、輸出企業は単価が思い切り下がっている。自社では昨年1年間に生産量が13〜14%増えたが、売上高は逆に3%落ちた。経済のグローバル化の影響だ。顧客は、購入する部品が世界でどこが一番安く作れるか分かるようになった」

 −企業経営への影響は。
 「中小企業にとっては円は90円台半ばまでしか耐えられない。グローバル化の対策はいかに合理化を進めるかしかないが、限界がある。激しい競争の中では海外生産も選択肢になるが、海外移転が進めば国内製造業が空洞化する。国は、企業の競争力を維持できるような条件整備につながる政策を打ってほしい。仕事が増えれば雇用も増える」

 −新年度も昨夏に続き、中国で県と商談会を催す。
 「グローバル化が進む中で、座って待っていても仕方がない。積極的に何か手を打つ必要がある。県は大手企業と県内中小企業との商談を取り持つ『近江てんびん棒事業』を実施している。近江商人がてんびん棒をかついで行商に出かけたように、外国にも売りに行く姿勢が大事だ。県と毎年開いているびわ湖環境ビジネスメッセをいつか中国で開けないか。中国に行けばビジネスチャンスが増える」

 −県は温暖化防止の条例案を2月県議会に提案する。2030年の温室効果ガス排出量を1990年比で半減させる目標をどう評価するか。
 「嘉田由紀子知事の思いはよくわかる。環境問題は非常に重要で、多くの企業がすでに取り組んでいる。ただ企業として大事なのは、利益につながるエネルギー使用量の削減であり、二酸化炭素(CO2)排出量の削減はその結果だ。目標だけを押しつけられると難しい部分もあるだろう。業種や企業によって状況も違う。基準値をどう算出するのかなどまだ分からないことも多い。国の下水道技術の国際戦略拠点誘致には期待している。琵琶湖での水処理技術を輸出産業に育てる夢がある。方向性が出たら協会の委員会から国や県に提言したい」

【2011.02.13掲載】