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伝統の存続模索 健康テーマに商品開発

アオバナ(草津市)
アオバナの茎や葉を使った粉末。小腸からの糖分吸収を穏やかにするという研究結果が出ている(草津市野路東)

 夏になると数センチ大の愛らしい青い花びらを付けるアオバナ。草津市周辺で栽培され、京友禅の下絵描きの染料として使われた。最盛期の昭和初期には8ヘクタールに作付けされたが、化学染料の登場などで利用されることがほとんどなくなり、作付面積は一時、千平方メートルまで落ち込んだ。現在はアオバナが血糖値上昇を抑えるという研究結果に着目し、健康食品などに活用法を探り、市全体で伝統の存続を進めている。

 同市穴村町で、約200平方メートルの畑にアオバナを栽培する横山賢治さん(80)。アオバナ栽培は、草津市内の生産者や業者などで「草津あおばな会」(事務局・市農林水産課)を2003年に設立した時に始めた。「米作だけしてきたが、地元の伝統を守る手伝いをしたかった」という。健康食品などに利用するには葉と茎を利用することが多いため、花が満開を迎える前の6月ごろに刈り取る。

 横山さんが収穫したアオバナは、アオバナ専門の商品開発・販売業「青花食研」(同市野路東)へ出荷する。同社が市内の農家からの買い入れと、健康食品向けなどに葉と茎を粉末にする工程を一手に担っている。粉末化は外注し、市内や東京都、大阪市など全国に販売している。市内でのアオバナ関連市場は年5千万円程度とみている。

 市内では、アオバナの粉末を利用したクッキーやまんじゅう、ソフトクリームなど多彩な商品が販売されている。

 アオバナを使った緑茶やサプリメントなど4種類の商品を販売しているJA草津市では、徐々に販売商品の種類を増やして、健康志向の顧客を中心に順調に売り上げを伸ばしている。JA草津市は「まだアオバナの認知度は低い。今後、インターネットなどでPRしていきたい」という。

 アオバナ関連の商品は現在約20種。作付面積も10年度で7千平方メートルと、徐々に回復している。昨年は葉と茎を合わせて約9トンの収穫があった。市農林水産課は「健康をテーマにして、アオバナを新しい伝統産業にしたい」と期待し、「生産農家は高齢化が進んでおり、若い世代にも栽培に参加してほしい」と課題を挙げる。

<メモ>
 アオバナは学術名を「オオボウシバナ」といい、ツユクサ科の植物。アオバナの染料は水に溶けやすいため、下絵に使われた。背丈は1メートルまで成長し、7月ごろに満開となる。市の花に指定されている。

<ぷらすα>草津の夏の風物詩

江戸時代は花びらを摘んで利用した。アオバナを摘む風景は、安藤広重の版画絵にも描かれている

 草津の夏の風物詩であるアオバナ。暑いさなかに、畑一面に咲いた涼やかな青色が映える。だが「地獄花」という意外な別名もある。収穫する時期の過酷な労働に由来するという。

 取材した栽培農家は、地域の大学生がボランティアとして作付けを手伝いに来てくれたことをうれしそうに話してくれた。「伝統を守る大切さは分かるけど、やはりこちらも年を取ります」

 アオバナの利用法は変化した。しかしアオバナ栽培の苦労は変わらない。

【2011.02.27掲載】