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滋賀経済同友会代表幹事 桂賢さん

環境成長経済目指す
 かつら・ただよし 瀬田工業高卒。1963年、新日本電気入社。70年退社、日津商会(現日本ガラストロニクス)入社。89年、法人化し、社長就任。滋賀経済同友会は2006年入会、幹事、副代表幹事をへて10年5月から現職。現在、滋賀経済産業協会常任理事など。大津市出身。67歳。

 東日本大震災で日本経済は大きな試練を迎えた。福島第1原発事故はエネルギー政策の根幹を揺るがし、影響の長期化に懸念が高まる。滋賀経済界はこの難局にどう立ち向かうのか。5月の総会で2期目に入った滋賀経済同友会の桂賢代表幹事に聞いた。

 −震災が滋賀企業に与える影響をどう見るか。
 「サプライチェーン(部品の供給・調達網)の寸断などで影響は大きい。当社も被災地に納入先があり、5月中旬まで受注が2カ月止まった。サプライチェーンはいずれ回復するだろうが、今後はエネルギー問題が産業活動の足かせになるのではないか。阪神大震災とは様子が違う。福島経済同友会のメンバーと現地で意見交換したが、原発問題の見通しが立たないことが一番悩ましいと話していた。地震と原発事故、風評被害の複合災害だ。経済の回復はそう甘くないとみている」

 −電力不足の問題が生じているのは、関東や浜岡原発(静岡県)が停止した中部だけにとどまらない。
 「もはや全国的な問題だ。原発は点検のため定期的に停止する必要があり、地元自治体が再稼働を認めなければ来春までに多くの原発が停止する可能性があるという。若狭湾の原発が止まれば関西でも電力不足が深刻になる。大手企業は生産の海外移転や自家発電などの対策をとれるかもしれないが、中小企業はどうすればいいのか。震災前の節電は低炭素社会の実現に向けた取り組みだったが、これからは事業存続のために真剣に考える必要が出てきた」

 −同友会にできることは。
 「本年度は『危機管理研究会』を新設した。2006年にBCP(事業継続計画)の提言をまとめたが、原発事故は想定していなかった。新たに広域防災の推進やエネルギー確保の視点を加えたい。会員企業の関心は非常に高く、第1回研究会には約60人が出席した。自然界から産業振興に生かせることを研究する『自然に学ぶ経済研究会』も立ち上げた。滋賀県は琵琶湖を抱え、その水を近畿1400万人が毎日使っている。環境や生物多様性を未来に引き継ぐ責任があり、滋賀から環境成長経済を目指す」

 −県は震災後も温室効果ガス排出量を半減させる目標を堅持する方針を示した。
 「温暖化は地球規模の問題であり、企業も取り組まなければならない。同友会としても原則的にその方向で推し進めるべきと考えている。ただ個別企業で見れば難しい場合もあり、事業内容によっても違いがある。県は弾力的に企業と協議する必要があるのではないか」

【2011.06.12掲載】