京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > 湖国経済
インデックス

高島織物工業協同組合理事長 川島諦さん

肌着脱却で産地振興を
 かわしま・さとる 同志社大工学部卒。フィルムの研究員を経て1974年、家業の川島織布(高島市新旭町)入り。現在、社長。高島織物工業協同組合では95年に理事就任。常務理事を経て2005年から現職。高島市出身。66歳。

 さらりとした肌触りが特徴の高島縮(ちぢみ)(綿クレープ)。伝統のステテコは近年、おしゃれな肌着として若い女性にも支持が広がっている。福島第1原発事故で全国的に節電が必要になった今夏は一段と注目度が高まった。新たな消費者の動きが地場産業の振興につながるのか。高島織物工業協同組合の川島諦理事長に人気の理由や今後の見通しを聞いた。

 −ステテコが若年層から注目を集めている。
 「2、3年前から柄物が売れ始め、『女子テコ』などと呼ばれる女性用の人気が出始めたところに、今年は節電クールビズが重なった。高島縮も6月に売り切れる状態となった。売り場には人だかりができたといい、バイヤーは『来年は今年の2倍売れる』と言っている。翌年向けの商談は例年10月からだが、今年は早くも盆前に試作が始まった。昨年から綿花が高騰しているため今年は追加生産ができなかったが、来年は2〜3割増えると期待している」

 −高島クレープの素材が見直されている要因は。
 「高島クレープの肌着を着ていて涼しいことは間違いない。高島産の綿織物は、日本の蒸し暑い気候や風土に合っている。よこ糸に強いよりをかけた生地は肌にべとつかず、さらっとしている。近年は冷房の効きすぎなどからステテコ需要の減少が続いていたが、今年のように室内の設定温度が28度になれば、よさを分かってもらえると思う。肌にやさしい天然素材であることもアピールしたい」

 −明るい兆しがある一方、産地の現状はなお厳しい。
 「高島の綿織物は、江戸時代から農閑期である冬場の仕事として発達してきた。琵琶湖沿いのため湿気が多く、綿を織りやすい環境が整っている。組合員は現在73社で、昨年1〜12月の生産額は工業用の厚織や帆布なども合わせて63億円。厚織や帆布は比較的堅調だが、ステテコやシャツなど衣料用の綿クレープは流行に左右されやすく、変動が激しい。ピークの1980年代以降は減少傾向にある」

 −ステテコ人気が高まる中で、産地の振興にどう取り組むか。
 「新製品開発に力を入れたい。80年代にパジャマから始めた。毎年、シャツやジャケットなどを大阪や東京で展示し、肌着からの脱却も目指してきた。昨年12月には高島市の支援を受け、すべての組合員にとって必要なたて糸ののりつけ機械を新たに導入した。品質向上やデザイン開発の強化につながる。高島は、ほかの繊維の産地と違って後継者が多くいることが特徴だ。この強みを生かして地場産業の復活に挑戦したい」

【2011.09.11掲載】