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注目高まる滋賀産 地元ブドウで生産拡大

ワイン醸造(県内全域)
発酵させているブドウをかき混ぜ、温度を調節する工程(栗東市荒張・琵琶湖ワイナリー)

 秋に入り、県内ではブドウの収穫期を迎えた。生食用が大半を占める中、ワインの原料となるブドウもあり、「地ワイン」に醸造される。今シーズンから工場を新設し、増産体制に入るワイン業者もあり、滋賀産ワインへの注目が高まっている。

 1959年にワイン醸造を始めた太田酒造(草津市)は今年9月から、栗東市のワイン醸造所「琵琶湖ワイナリー」の敷地約2千平方メートルで新工場を稼働させた。隣の旧工場では醸造量が年間約20キロリットルだったが、1・5倍の増産を目標にしている。

 7・5ヘクタールの自社のブドウ畑を持ち、ワイン用のブドウとともに生食用ブドウを栽培。観光農園も開いていたが、新工場建設に伴い、今シーズンから観光農園を閉鎖した。太田精一郎社長(51)は「ここ5年でワインの売り上げが15%伸びた。力を入れたい」と説明する。

 ただ、自社農園のブドウだけでは生産量に限界がある。このため今年から、本格的に県外からブドウを仕入れる。太田社長は「自社畑のブドウからのワイン醸造を増やしつつ、国産ブドウのワインもつくり、生産量全体を押し上げたい」と計画している。

 県内の契約農家からブドウを仕入れ、ワインをつくる会社もある。にごりワインを製造・販売している「ヒトミワイナリー」(東近江市)では、農家から仕入れたブドウで、約10種類の滋賀産ブドウ100%のワインを醸造する。2007年から始めた事業で、年間約2千本を出荷している。

 同社では、年間約8万本のワインを販売している。このうち9割を国産ブドウ100%のワインが占める。岸本邦臣社長(56)は「滋賀産ブドウを使ったワインの割合を増やしていきたい」と、地元産にこだわる。そのため県内のブドウ農家との契約拡大を目指す。

 ブドウ生産を推進する県農業経営課は「県内ではブドウの出荷量が落ち込んでいる。生食用だけでなく、ワインなどに活用が広がることで、生産量増加に結びつけば」と期待する。

 一方、不動産会社でありながら農業事業も手掛けている「大沢ホールディングス」(米原市)は、ニュージーランドの自社畑でブドウを栽培。現地でワインを醸造し、輸入して全国に売り出す独自のシステムを展開している。

<データ>
 農林水産省のデータによると、2010年度に滋賀県で収穫できたブドウの栽培面積は59ヘクタール、全国の都道府県で25位。県農業経営課によると、最盛期の00年度には64ヘクタールあったが、それ以降、減少傾向が続いている。現在、新規植栽について研修会を開くなど、生産量を伸ばす取り組みが続けられている。

<ぷらすα>半年から3年で出荷

ワイン用ブドウの出来具合を確かめる。この後、茎を取りのぞく工程に入る(栗東市荒張・琵琶湖ワイナリー)

 栗東市荒張の「琵琶湖ワイナリー」には、青々としたブドウの木々が並ぶ。収穫作業を進める従業員の周りには、たくさんのスズメバチが飛び交っていた。昆虫も甘いブドウを狙っており従業員はハチをよけながらの作業に汗を流していた。

 収穫したブドウは、茎の部分を取り除いて果汁を搾り、発酵させる。半年から3年で、出荷できる状態になるという。ワインづくりの苦労を思えば、味わいも一段と深くなった。

【2011.09.25掲載】