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滋賀県中小企業家同友会代表理事 蔭山孝夫さん

工場地方移転に補助を
 かげやま・たかお 同志社大経済学部卒。証券会社などを経て1971年に滋賀建機を設立、社長に就任。2005年から会長。滋賀県中小企業家同友会には1996年入会。理事などを経て2001年から代表理事。愛荘町出身。71歳。

 中小企業憲章の閣議決定などを背景に中小企業の価値を再評価する動きが広がっている。急激な為替の円高や電力不足などが日本経済に重くのし掛かる中、中小企業は存在感を高めることができるのか。雇用対策や人材育成などに取り組む滋賀県中小企業家同友会の蔭山孝夫代表理事に中小企業の役割や直面する課題を聞いた。

 −県内の中小企業の現状をどうみるか。
 「2008年秋のリーマン・ショックからようやく回復したところに東日本大震災が起きたが、中小企業は踏ん張っている。同友会の会員企業には人間を大事にする理念経営が浸透していることから雇用を守っている。中小企業は小回りがきく。危機をばねに新しい事業を興し、リーマン・ショックや震災後に業績が伸びた企業もある。商品や市場、顧客を創出した企業が伸びている。これからの時代はイノベーションを続ける企業でなければ生き残れない」

 −円高など厳しい経営環境が続いている。
 「一部の製造業が、円高による収益悪化を懸念する取引先から値引きを求められ始めている。一定規模の企業なら海外進出も可能だが、従業員30人程度の企業は行けない。孫請けや4次下請けは廃業が増えないか心配している。今後は海外にこそ出ないが、物価や人件費が比較的安い地方に工場を移す動きが出てくるだろう。政府はこのような企業に補助金を出し、地方の活性化につなげてほしい」

 −地域の中で中小企業が果たすべき役割は
 「県内企業のほぼ100%が中小企業で、雇用の85%を支えている。政府が昨年6月に閣議決定した中小企業憲章は『中小企業は、経済を牽引(けんいん)する力であり、社会の主役である』とうたっている。中小企業が地域になくてはならない存在であることを多くの人に知ってほしい。そのためには経営者がまず誇りを持つ必要がある。現在の会員は600社だが、5年後に県内法人数の1割超に当たる1200社に増やし、同友会の発言力を高めたい」

 −県も中小企業振興条例(仮称)の制定準備を進めている。期待や要望は。
 「条例を何のために作るのかが大事で、多様な企業の存在が地域を発展させるという前提で考えてほしい。大企業を誘致すれば仕事が増えるという時代は終わりつつある。グローバル化の中で大企業も余裕がなく、頼りすぎるのは危険だ。近年は建設業や福祉施設が農業に参入する新たな動きも出ている。規制を緩和し、地域の環境問題など中小企業が活躍できる場所を整えてほしい」

【2011.10.09掲載】