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(1)任天堂 岩田聡社長

欲しい物は生き残る
岩田聡社長

 −国内外の不況風にどう立ち向かうのか。
 「ゲーム市場は大きくなったが、不況で売れるものと売れないものの明暗がはっきり分かれてきた。世界が一つにつながり、飽きられる速度も増している。娯楽の仕事はいま広い支持を得ていても、次に確実に人に驚いてもらえるかどうか保証はない。いつも綱渡りの気持ち。今後もいい意味でユーザーの期待を裏切っていきたい」

 −クリスマス・年末商戦の結果は。
 「米国、欧州では据え置き型ゲーム機Wiiが前年より大幅に増え、(携帯型の)DSシリーズも伸びた。Wiiは一昨年末から品薄状態が続いたため、昨夏から増産したことも影響した。国内では(後継の)DSiが昨年十一月の発売から二カ月で約百四十万台売れ、いい線だった。国内の二倍以上の市場がある欧米ではまだ伸びる余地がある。今年はDSiの海外投入時期を探り、この波をいい形で引き継ぎたい」

 −景気悪化の影響は見当たらないか。
 「百年に一度の危機と言われ、毎週の販売報告には神経を使ったが、幸い消費者の節約対象にならずに済んだ。車や旅行などに比べて安く長く楽しめるビデオゲームは、景気変動の影響をあまり受けない。ただ、常に冒険をして、面白い商品を出せるかが大事。だからこそ一番欲しいものとして生き残った」

 −欧米以外のアジアなどへの戦略は。
 「中東を含め、今年は新興国に製品を提案していくチャンスだ。昨年は欧米の需要への対応に追われた。金融危機以降は韓国や新興国の通貨が非常に不安定。一度決めた価格が成立しない。早く落ち着いてほしい」

 −春からインターネットを通じてWii向け番組を配信する。
 「新しい放送局のようなものにしたい。Wiiはお茶の間のテレビを通じてネット接続率も高く、男女比もバランスが良い。この環境を生かし、狭い意味でのゲームだけでなく、幅広い情報配信や家族と企業を双方向に結ぶメディアにすることで、さらなるゲーム人口拡大につなげたい」

    ◇
 世界同時不況の「激流」が押し寄せている。京滋の主要企業トップはいかに逆風に立ち向かい、勝ち残りを目指すのか戦略を聞いた。=13回掲載の予定です

【2009年1月14日掲載】