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インデックス

(4)日本電産 永守重信社長

長期の技術開発継続
永守重信社長

 −モーター製品の市況をどう見ているか。
 「昨年十一月半ばに需要が急減した。金融不安で欧米企業が十二月決算前にキャッシュ確保に動き、在庫を圧縮したのが要因だ。さらに年末商戦の不振で落ち込んで市場が半分になった。要因は在庫調整と売れ行き不振が半々と見ている。二月か三月には在庫調整が終わり、落ち込みの半分は戻るかもしれないが、元に戻るのに一年はかかるだろう」

 −大幅に業績予想を引き下げた。いかに逆風を乗り越えるか。
 「一つ目は赤字を出さないこと。雇用は最後まで守るが、危機感を共有するため社員の賃下げを行う。二つ目は回復期に一番に立ち上がれる態勢にすること。エンジニアの仕事環境を整えるため、滋賀技術開発センター(滋賀県愛荘町)の新棟建設をやりきる。三つ目は長期の技術開発を続けること。電気自動車などの環境対応車向けモーターは開発依頼が増えている」

 −富士電機モータや東洋電機製造の買収が不成立に終わった。
 「要因はそれぞれ違う。東洋電機の場合、会社の選定は良かったが、経営陣の選定を間違えた。相手先の大量買い付けルール(買収防衛策)に沿って買収提案したのに、相手側のルール運用がむちゃくちゃだった。経営者の保身ではないか。富士電機モータは不況で赤字になり、買収価格で折り合いがつかなかった」

 −今後のM&A(企業合併・買収)は。
 「東洋電機への事前交渉なしの買収提案は初の試みだった分、ノウハウもつかめた。不況が終わり次第、相手先をよく見極めてまたやりたい。当面は救済型の買収が中心になる。不況で買収案件の持ち込みは増えている」

 −二〇一〇年に売上高一兆円を達成し、会長に就任するという計画は遅れるのか。
 「百年に一度という不況に直面している以上、一兆円の達成時期は多少ずれるかもしれないが、旗は降ろさない。(会長の話は)撤回する。こんな状況になった以上、社長は当分続ける。この人なら大丈夫という後継者が出たらスパッと役員も退任する」

【2009年1月17日掲載】