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村田製作所 村田恒夫社長

新興国で生産伸ばす
村田恒夫社長

 −2012年度までの中期3カ年計画に沿った取り組みは。
 「市場を新興国、中核、新規の3領域に分け、それぞれへの戦略を明確化した。中間所得層が急増している新興国市場へは低価格機器向けの製品を売っていく。電子機器の小型・多機能化が進む先進国は中核市場と位置づけ、付加価値の高い製品を投入する。新規市場は自動車、環境、ヘルスケアの各分野。電子部品ニーズをとらえ、新たな事業化を目指している」

 −新興国市場の需要増に合わせた展開は。
 「中国、タイ、マレーシアでの生産比率を伸ばす。現在の海外生産比率は15%だが、12年度末には30%にしたい。60〜70%ある業界水準に比べれば少ないが、すでに海外生産を始めている積層セラミックコンデンサー(MLCC)や通信モジュール(複合部品)などを順次、日本から移したい」

 −中核市場とする先進国での需要動向は。
 「消費刺激策の終了でペースダウンは予想されるが心配していない。スマートフォン(高機能携帯電話)の普及率はまだ20%程度だが、12年度末には40%に拡大するとみる。販売台数は薄型テレビが10%、パソコンも買い替え需要で15%以上は伸びる。電子書籍端末など、携帯電話以外にも無線通信機能が搭載される機器は多く、来期はMLCCの超小型化や通信モジュールの開発・生産をさらに強化する」

 −新規市場で12年度末までに売上高400億円の目標を掲げる。
 「うち約200億円は、セラミック製以外の新たなコンデンサーの売り上げで達成したい。容量の多い高分子アルミ電解コンデンサーなど、多様な製品をそろえて顧客のニーズを満たしていく。家電など今までにない市場にも挑戦する」
 「ヘルスケア分野の製品は試作段階にあるが、売り上げに結びつくにはもう少し時間がかかる。お客さんに喜んでもらえる価値を提供できるよう、社員の提案力、起業家精神を高めたい」

決断 「常に身の丈を知る」

 新しいことを始めるより、やめる決断をするほうが実は難しい。自分たちができないところまで背伸びをしていないか、負担が重すぎないか、常に身の丈を知ることが大事だと感じている。
 出歩くのが好きで、毎年、世界各地の拠点を回って現場の声を聞いている。昼食もたいてい、社員食堂で食べる。社員と会話することで「自分たちが発言してもいいんや」という雰囲気ができる。じっくり考えられるだけの情報が決断を支える。

【2011年1月15日掲載】