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インデックス

宝ホールディングス 大宮久社長

海外酒類で飛躍図る
大宮久社長

 −今年の景況は。
 「昨年は円高が進行し、内需が停滞した。自動車や液晶テレビなどは売れたが、補助金やエコポイントに支えられてのもの。本来の内需拡大ではなく、重い年だった。今年も昨年と同じ状態が続くとみた方が安全だろう」

 −長引く景気低迷への対策は。
 「景気が悪いと外に出てもらえず、厳しいのは確かだ。しかし、不況時は、商品を置いてもらう場所や間口を広げてもらうよう小売店に働きかける期間に充てたい。景気は循環する。商品のラインアップや間口の拡大に努めれば、景気が回復したときに効果が出てくる」
 「質の面で布石は打てている。焼酎や日本酒、焼酎ハイボールなどのブランドが育ってきた。昨年、フランスの日本食材輸入卸会社フーデックスを買収した。欧州では日本食が見直されており、まだ伸びる。拠点ができたことは大きい」

 −酒造業界の将来は。
 「少子高齢化で酒の消費量は減っていくだろう。その分は付加価値を高めることで補っていかなければならない。『客が望む』『競争が少ない』『価格が通る』『人のまねでない』という条件を満たし、客が潜在的に飲みたいと思うものを技術力で表現していく」

 −タカラバイオの業績が順調だ。
 「遺伝子工学研究分野が収益頭となり、医食品分野も収益が改善されてきている。ホンシメジやハタケシメジは売り上げが伸びており、さらに力を入れる。両分野で遺伝子医療分野の商業化を助ける形につなげたい」

 −成長戦略をどう描く。
 「酒類や調味料で安定的な利益を追求し、バイオや海外の酒類で飛躍を図る。2011年度から第8次中期経営計画が始まる。ブランド力、収益力をさらに強化していきたい」=おわり

決断 「もう少し」の発想で

 宝酒造の取締役時代にバイオ事業を始めた。当時は焼酎ブームで、「ビジネスになるのか」「商学部出身者にバイオが分かるのか」といった声が多く、社内で孤立し寂しい思いをした。退社も考えたが、少しできるということは、もう少しできることにつながるという発想で続けてきた。
 タカラバイオは世界有数の試薬会社に成長したが、まだ発展途上。遺伝子治療を商業化したら、ある程度完成と思いたい。一歩もう一歩とやっていきたい。

【2011年1月27日掲載】