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ローム 澤村諭社長

分散生産で供給責任果たす
澤村諭社長

 ―昨秋のタイの洪水で2工場が被災し、大きな影響が出た。
 「生産量の3割を担う主力拠点が浸水で操業停止した。タイの日系顧客メーカーの減産もあって190億円の営業減益の見込みで、創業以来の危機に陥った。必死の作業で11月末に1工場を生産再開し、今月1日には代替生産分を含め供給量は完全復旧できた」

 ―操業停止中のロジャナ工業団地工場の再開見通しは。
 「平屋建てで完全に浸水した。再び洪水が起きても生産を止めないよう高台移転や復旧した工場への統合、タイ国外の工場への移転統合を選択肢に考えている。3月までに結論を出したい」

 ―今後の災害リスクにどう対応するか。
 「必ず顧客への供給責任を果たす。金型を複数工場で共有し、全部品を分散生産できる体制にする。復旧した工場は金型や電源設備を上階に移し、基本的に1階の生産をやめて浸水リスクを減らす。タイの生産比率も見直し、トランジスタなら従来の5割から3割台に引き下げる」

 ―通期で上場以来初の最終赤字を見込む。来期の戦略は。
 「災害のマイナス影響は回復するはずだ。さらに重点策として自動車向け部品を強化する。電源LSI(高密度集積回路)などに強く、まだシェアの低い欧米や中国の自動車メーカーに拡販し、売上高比率20%を早い段階で30%に高めたい。産機向けも新製品開発で10%に上げていく。通信分野はスマートフォン(多機能携帯電話)を扱う日本メーカーが増え、関連部品の収益につながるはずだ」

 ―次世代素材のシリコンカーバイド(SiC)部品の量産化で先駆ける構えだ。
 「従来のシリコンより電力損失が10分の1以下で、電気自動車や太陽光発電の関係で引き合いがすごい。本格的な機器搭載は3年後とみて、新エネルギー分野に有効な製品を開発していきたい」

 ―初の消費者向けのLED(発光ダイオード)照明の手応えは。
 「売り上げは目標通りでいい滑り出しだ。LED素子から最終製品までの一貫生産で、新商品の開発スピードが強み。100億円の事業に育てたい」=おわり

【2012年1月25日掲載】