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(2)至れり尽せり

面倒見良さ 評価に
京都大で開かれた合同企業説明会。京大も学生の就職支援に力を入れる(京都市左京区)
 大学で講義前の点呼や出席カードが過去の姿になるかもしれない。京都産業大(京都市北区)はIC(集積回路)チップ入りの学生証で、講義の出欠をコンピューターで一元管理するシステムを開発中だ。来春にも本格導入する。
 「今や大学は入り口から出口まで責任を持たなければいけない」。教務部の物部康雄課長は強調する。システムは出欠のほか入学時の成績や相談内容、進路希望などあらゆる情報を集約する。的確なタイミングで学生を指導する狙いだ。
 「さまざまな学生が入ってくるようになり、一人一人を細やかに指導しなければならない」という。
 大学が学生獲得を競い合う「全入時代」を迎え、希望の進路に送り出すまで手厚く支える面倒見の良さが大学の評価の一つになっている。「自ら学ぶべし」の考えは薄れ、学力を付けさせることも期待される。
 同志社大工学部(京田辺市)の溝畑潔助教授は、数学の自習ソフトを開発し、昨春からネットで公開している。三角関数を覚えていなかったり、簡単な計算ミスをするなど、学生の数学力低下が理由だ。
 気が向かないと取り組まない学生気質を考慮してゲーム形式にした。問題に正解すると次の段階に進め、学生同士で成績を競い合える。溝畑助教授は「いかに数学に興味を持たせるか。講義が理解できない学生の世話が必要になっている」と指摘する。
 「うちの子が就職活動しないのですが…」。京都大(左京区)のキャリアサポートセンターには、学生の親から相談が寄せられる。就職が決まらない学生のほか、数年で会社を辞めた卒業生も相談に訪れる。
 センターは、OB訪問のための企業情報の収集や合同企業説明会、企業に提出するエントリーシート(願書)の書き方指導まで行う。一昔前は、就職活動を支援する必要性がなかった京大でも、学生に進路を考えさせる「キャリア設計」の手伝いを始めた。
 鱸淳一センター長は「京大に入ったら、どんな就職先があるのか聞く受験生の親もいる。学生や親の期待に応えなくてはいけない」と説明する。
 一方で、最近、こうした状況を揺るがす「事件」が起きた。神戸市役所で、大卒の学歴を隠した職員が、中、高卒しか認めていない調理師や学校の管理員に採用されていた学歴詐称問題が発覚、36人が諭旨免職になった。大学が学生への手厚いサービスを競い合う中、大学の意味や価値が問われている。
【2007年2月17日掲載】