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(1)元気出そうよ

学生の意欲低下懸念
ゼミの仲間と作ったラグビー部応援用の横断幕。加茂さん=左から3人目=はラグビー部の応援で学内を盛り上げるつもりだ(京都市北区・京都産業大)
 京都精華大(京都市左京区)で今年、6月恒例の「五月祭(さつきさい)」が姿を消した。1970年代から、大学非公認で自主的に続けてきた行事だった。
 「寿命だった」。マンガ学部2年の男子学生(21)は振り返る。学生自治の象徴でありながら、次第に関心が失われていった。昨秋の大学公認の学園祭で乱闘騒ぎが起きたことをきっかけに、学生有志が「原点に返り、祭りの在り方を話し合おう」と呼びかけたが反応はなかった。4月の説明会で中止を提案しても反発はほとんどなかった。
 力士勝学生課長は「形を変えて開催してくれると期待していたが…。学生のパワーがなくなると大学の元気もなくなってしまう」と懸念する。
 「学生に元気がない」。大学職員の近年の共通の話題になっている。学生獲得をめぐる大学間競争が激しくなる中、学生の評判は就職や受験人気に直結する問題だ。大学自らがキャンパスの活性化に乗り出した。
 「ラグビー部を紹介するDVDを作って学内を盛り上げたい」。京都産業大(北区)の会議室で経営学部3年加茂愛乃さん(21)らのグループが、横断幕を手に審査員の教員に訴えた。
 「サギタリウスチャレンジ」。何かに挑戦する学生を応援しようと、京産大が大学の学章サギタリウス(射手座)を冠して始めた。採用者には最高50万円を補助する。
 京産大はこれまでタレントや歌手を多数輩出してきたが、最近は「飛び抜けた学生が少なくなった」(井上嘉規・学生課長)。講義後もにぎわっていたキャンパスは、今では夕方には帰宅を急ぐ姿が目立つ。井上課長は「何かやりたいが踏み出せない学生は多い。学生に火をつけて学内を活性化させたい」と話す。
 今年は昨年の倍以上の45組が応募した。加茂さんのグループのほか、財政危機の市町村の町おこしを考えたり、学内のリサイクルを考える7組が採用された。加茂さんも講義が終わると長浜市の自宅に急ぐ日々を送っていたが、友達や先輩と一緒に取り組む楽しさを知った。
 「ラグビー部の応援なら大学全体で一体感を作り出せる。そうすれば大学はもっと面白くなると思うんです」
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 大学全入時代を迎えて、大学には多様な学力、気質の学生が集まるようになった。学生の面倒見の良さが一つの評価となるなか、京滋の大学の取り組みを通して今どきの学生の姿を見た。
=5回掲載の予定です。

【2007年9月3日掲載】