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(2)教え教えられ

ゆとり対策工夫必要
昨年10月に開設された「ライティングセンター」。大学院生(右側)が、学生にリポートの書き方やテーマの決め方を個別指導する(大津市・龍谷大)
 新入生も大学生活に慣れ始めた6月中旬、龍谷大瀬田キャンパス(大津市)の一室で、女子学生3人組が困り切った表情で切り出した。「リポートに何を書けばいいか分からないんです」
 昨年10月に開設した「ライティングセンター」は、大学院生10人が交代で学生に論文の書き方や発表のレジュメ作りを指導する。4月中旬から約4カ月で延べ178人が利用した。国際文化学部2年の男子学生(19)は「ぼくたちの視線で考えてくれる」と喜ぶ。
 きっかけは昨春から入学が始まった「ゆとり教育」世代対策だ。学習内容が大幅に削減された新指導要領で学び、基礎学力不足が指摘される世代で「リポートやゼミの発表ができない学生が年々増え、入学後の学力の底上げが必要だった」と、当時の教学副部長、長上深雪教授は説明する。
 自分で考えられるよう手助けするねらいだが、すぐに答えを求めたりテーマを決められない学生もいる。相談にあたる社会学研究科博士後期課程服部直さん(29)は「上手に学生の力を引き出すことが必要」と話す。
 少子化や入試制度の多様化で比較的大学に入りやすくなり、学生の学力格差は拡大している。大学は少人数、個別指導に力を入れ、院生や学生を活用する動きも活発だ。
 「It is to 〜の構文をやってみよか」。立命館大衣笠キャンパス(北区)で7月上旬、教員を目指し、来年に教育実習を控える男子学生3人が、自分たちで作った指導案に沿って模擬授業を行った。先輩の文学部4年備前綾子さん(22)が厳しい表情で点検し、「例文は区切って読まないと分かりづらいよ」と指摘した。
 立命館大は2004年度から学生が教員の手伝いをするES(エジュケーショナル・サポーター)制度を始めた。前期は260人を指名した。指導案を添削した備前さんは「他人を教えるのは勉強になる」という。
 さらに、2、3年生が新入生の学習や生活面をサポートする制度や、院生が講義を補助する制度も取り入れている。中村正教学部長は「学生同士が教え合う方法は教育効果が高い。教える側の工夫がますます重要になっている」と話す。
【2007年9月4日掲載】