京都新聞TOP > 文化・文芸・教育アーカイブ > 大学サバイバル
インデックス

(4)大人になろうよ

モラル どう教えるか
京大が7月下旬に開催したシンポジウム。モラル教育の在り方について大学は模索している(京都市左京区・京大)
 佛教大(京都市北区)に昨年から、学生のネット上の日記に抗議が相次いだ。酒を飲んで自転車に乗ったことなどを面白おかしく書いていたからだ。
 事情を聴いて架空の話と分かったが「仲間内と思い、面白くしたかった」と、学生は抗議に驚いていたという。大学はホームページに謝罪文を掲載した。
 学生部長の笹田教彰教授は「飲酒運転に対する社会の目の厳しさが分からない学生が多い」と語る。この件などをきっかけに昨年から、懲罰規定を詳細に定め、モラル違反は厳しく罰する姿勢を明確にした。
 京都大アメリカンフットボール元部員による女性集団暴行事件や学習塾講師の同志社大生による小学生殺害事件など、学生による事件が世間を騒がせ、大学の責任が問われている。社会的には「大人の一員」ともみられる大学生に、いかにモラルを教えるべきなのか、大学は揺れている。
 京大は、アメフット元部員の事件を受け、7月末に連続公開シンポジウムを開いた。しかし、テーマは研究者や専門職の倫理の在り方が中心で、学生の基本的なモラルの問題は議論に上がらなかった。企画にかかわった教員は「京大にふさわしい本来の倫理教育を考えたかった」と話し、大学がモラル教育を行うことに疑問を投げかけた。
 一方、殺人事件のほか尼崎JR脱線事故で同大生が犠牲になるなど生死にかかわる事件、事故が相次いだ同志社大は今春、連続講義を始め、宗教、哲学、倫理、心理学、福祉の講師が「いのち」について話した。
 7月中旬の最終講義で学生たちはグループ討議後、「生だけでなく死についても考えるようになった」「生命の大切さ、尊さを再認識できた」と、感想を模造紙に書いた。キリスト教文化センターの三木メイ講師は「真剣に話し合い、考えてくれた」と振り返る。
 三木講師は以前、学生に「大切にしている言葉」「大切にしていない言葉」を3つずつ選ばせた。「幸せな」「楽しい」「生き生きとした」が大切な言葉に上がる半面、大切にしていない言葉に「社会のための」「正義の」「献身的な」を選んだことに驚いた。
 「他人の痛みを想像し共感する力が衰えていると感じる。大学でもいのちを考えることに意味がある」
【2007年9月6日掲載】