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(5・完)街に出れば

人との交流 財産に
大学で友人と話す太田さん=中央。インターンシップをきっかけにして自分の進む方向を見つけた(京都市中京区・花園大)
 同志社大(京都市上京区)は7月、大学の合唱サークルと一般参加者の合唱劇を初めて企画した。練習会場では、私語をする学生を年配の女性が注意したり、走り回る子どもを学生が追いかける姿があった。
 伊東恵司・学生支援課係長は興味深く見守った。「兄弟げんかや異年齢集団で遊んだ経験が少ない学生にとって、さまざまな人との交流は財産になる」
 学生支援課がかかわったきっかけは、サークル活動の人間関係の変化だ。会合で説明しても内容が十分伝わらない。「風で倒れると危険だから立て看板を小さくして」と注意しても「先輩から聞いてません」と、翌年も同じことを繰り返す。
 伊東係長は「先輩、後輩の間で濃密な人間関係が築けていない。社会との接点を増やして人間関係を豊かにさせたい」と語る。
 学生が社会と接点を持ち、社会参加の意欲や大学で学ぶ意味を実感させることを大学は重視している。1990年代に始めたインターンシップ(企業や役所での就業体験)もその一つだ。大学コンソーシアム京都(下京区)によると、京都で年間2000から3000人の学生が参加する。
 「将来より今を楽しむ方が大事。自分と友達の小さな世界で満足していた」。今年3月、経済産業省のインターンシップコンテストで最優秀賞に選ばれた花園大4年太田佳祐さん(21)はそう振り返る。
 昨年8月から半年間、大阪・アメリカ村のファッション情報などの無料誌を発行する会社でインターンシップを経験した。スタッフは社長と太田さんだけ。廃刊が決まった雑誌を配るだけの日々で、やる気を失いかけたが、社が主催するファッションショーを引き受けたのが転機になった。
 スタッフ集めや出演者との交渉など初体験ばかりで、けんかしたり、落ち込んだことも多かった。1月末に開いたショーにこれまでの3倍以上の入場者350人が集まり、出演者と一緒にうれし泣きした。
 「多くの人に動いてもらうには、信頼してもらい、納得してもらうことが大切だが、狭い世界では気付かなかった。人を感動させる仕事がしたい。自分が進む道がようやく分かった」。雑誌は存続が決まった。太田さんは内定していた会社を断り、雑誌を引き継ぐことを決めている。
=おわり
【2007年9月7日掲載】