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定員割れ 志望1位求め危機感

第1部 山城通学圏の3年
毎日の学習時間が書かれたクラブノートを点検する大江教諭(城陽市・西城陽高)
 西城陽高(京都府城陽市)の大江和也教諭は毎週月曜日の朝、顧問を務める女子バスケットボール部のメンバーからクラブノートを受け取る。
 練習試合でシュートを決められないと悩みをつづる生徒に「気持ちの問題。戦いに行く」と、励ましの言葉を書き込む。ページをめくると、「4月13日2時間」「4月14日3時間」…。毎日の学習時間がびっしりと書き込まれている。
 大江教諭は「自己管理が難しい生徒も少なくない。記録させることで意識が高まり、必ず机に向かう生活リズムができた」と話す。
 「部活動の盛んな進学校」。西城陽高がいつも自己紹介で使う表現だ。部活動の場面でも学習指導を怠らない。
 今年度入試で西城陽高を志望第一順位とした生徒は定員を69人上回ったが、2005年度は25人下回った。「固定客をどうつかむか。単独選抜では経営的な戦略が必要。部活動も勉強も、当たり前のことを当たり前にさせることがうちの戦略」と話すのは福岡進校長。「学力上位層が京都市内の専門学科や南陽高に流れる中で、自己管理できる子をどれだけつくれるかが進路保障にもつながる」という。
 一方、同じく「部活動の盛んな進学校」を掲げる莵道高(京都府宇治市)は今年度入試で志望第一順位が定員を7人下回った。西城陽高が人気を落とした05年度は101人があふれた。両高と南陽高は大学進学実績のある「ビッグスリー」(学習塾)とされ、前年の状況が人気を左右し、隔年で第一順位の定員割れを起こす。
 単独選抜は願書に第一から第三順位まで志望校を選び、「どの高校でもよい」という希望もできる。各校は定員の85%を第一順位の生徒の成績上位から選ぶ。次に、第一順位にもれた山城通学圏の生徒全員の入試得点と内申点の合計を上位から順に並べ、全校の校長らが出席する選抜会議で残り15%に振り分ける。
 府教委は「第二順位の生徒にもチャンスを与える制度」と説明するが、ビッグスリーを志望の下位順位に書く生徒は多くない。第一順位が定員割れすると、「どの高校でもよい」など第一順位以外で入学してきた生徒と大きな学力差を生む。
 いかに「定員割れ」を起こさないか。その危機感は学習塾との関係を一変させた。西城陽、莵道、南陽、東宇治高の4校は昨年、初めて塾対象の学校説明会を開いた。進路指導の材料として、入学試験や内申点の合格ラインをそっと示した学校もあるという。
 「中学校を差し置いて数字を塾に示すのはいかがなものか」と話す校長もいるが、別の校長は「中学校よりも塾の方が正確に情報提供できる」と屈託ない。塾側も「来年度入試に向け、『関西私塾の会』として山城通学圏の全校に説明会を働きかけたい」(海星学院・江川進二塾長)と積極的だ。
<単独選抜の合否決定>
 単独選抜は志望第一順位の生徒で定員が満たなければ、第二順位の生徒から埋めていくため、実際は定員割れが起こらない。本年度入試では第一順位の85%にもれたのは508人。そのうち、173人が15%に入れず不合格となった。