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受験専門学科 進学実績 人気を左右

第1部 山城通学圏の3年
教養科学科1期生の入学式。山城通学圏屈指の伝統校の新しい出発だ(宇治市・城南高)
 4月10日、山城地域では木津高に次ぐ歴史を持つ城南高(京都府宇治市)で、新設された教養科学科の入学式が行われた。教職員や保護者の大きな拍手に迎えられ、新入生が入場すると、谷本義和校長が声高らかに「73名、本校教養科学科第1学年に入学を許可します」と宣言。「良き伝統を受け継ぐとともに新しい歴史をつくる担い手として努力してほしい」とエールを送った。
 城南高は2年後、単位制普通科を置く西宇治高と統合され、「城南菱創高」になる。府内初の単位制専門学科となる教養科学科は、「7割が国公立大を目指す進学校」を掲げてリニューアルを図る「老舗」の新たな看板として、本年度入試の行方が注目された。ところが、結果は定員に7人満たない73人だった。
 3月末で退職した西山正文前校長は「昨年度の卒業生は国公立大進学ゼロ。進学実績と目指す学校のギャップに苦しんだ」と話す。昨年9月の希望調査では、志願予定者は定員の半数以下。近隣の中学生に敬遠され、特に自然科学系は同様の学科を置く南陽、桃山両高が近くにあり、「一けた台」(関係者)だった。
 専門学科は通学圏によらず府内全域から生徒を募集できる。さらに、3月の一般入試よりも20日早く行い、事実上の入試である適性検査で優秀な生徒を先取りできる。その利点を生かし、難関国立大に卒業生を送る京都市内の堀川高、嵯峨野高、西京高は「御三家」と呼ばれる。御三家に続けとばかりに、この2年間で9校が専門学科を新設したが、人気の二極化が起こっている。
 生徒募集に苦しんだ城南高だが、実は、2月14日に行った教養科学科の適性検査には、定員の1・5倍を超える129人を集めた。2年後に一緒になる西宇治高の推薦入試と併願ができるよう急きょ、要項を変更したことが奏功した。西宇治高とのダブル合格を見込んで93人を適性検査合格とした。ところが、ダブル合格した9人のほかにも、10人が一般入試で他の公立、1人が私学に流れた。「うちの合格を担保に他の公立を受けるとは想定外だった」(西山前校長)。苦い入試を経験しただけに、「1期生は学校が親として初めて出産するわが子」(杉本憲一副校長)と思い入れは強い。
 城南高を選ばなかった10人のうち8人が西宇治高に入学した。新年度初の職員会議で東晴康西宇治高校長は強調した。「2年後に向け、原点に戻るべきだ。在校生にどんな教育ができるかが再編校を左右する」
 城南菱創高は、西宇治高同様にすべて単位制となる。定食でなく、バイキング方式で科目を選択できる単位制のメリットを示すためにも、今春達成した国公立大35人という進学実績は落とせない−。力が入る。
 東校長はいう。「再編は活性化のきっかけ。普通科の幅広さと専門学科の深さを併せ持った厚みのある学校にしたい」
<適性検査>
 従来、工業や商業など職業系が主流だった専門学科は、入試に先立つ適性検査で生徒の資質を確認している。1996年度に設置された府立嵯峨野高京都こすもす科以来、大学進学を掲げた普通科型の専門学科の新設が相次ぎ、適性検査が事実上の入試となっている。