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家計急変 消える笑顔

級友に告げず転校も…
夏休み前の最後の授業を終えて帰路につく子どもたち。休み明けに元気な顔がそろうだろうか(京都市内)

夏休みを控えた7月半ばの放課後、京都府南部の小学校で担任教諭(54)が保護者を待っていた。
 クラス全員の親と順番に面談する予定だったが、ある母親が約束の時間になっても現れない。電話をかけると、母親は「あ…忘れてました」。もともとはしっかりした家庭。ただ、今春から給食費と教材費を滞納していた。家計のために夫婦とも働きづめで、学校や子どもに気が回らない様子が言葉の端々から伝わってきた。

 「自宅は新築一戸建て。ローン苦なのか、リストラなのか…」と教諭は表情を曇らせる。「子どもの成績や集中力が下がりがちなのが気がかりです」

 20〜30歳代を中心に、経済的に困窮する親が全国的に増えている。学用品費などの公的補助(就学援助)を受けている小中学生は2007年度で13・7%、142万人にのぼる。京都市では08年度に21・6%と、制度が始まって以来で最も高い割合となった。

援助率が上がっているのは、低所得層の多いとされる地域だけではない。

静かな住宅街を校区に持つ京都市北区のある小学校では、ここ数年で5%も押し上がった。市教委調査課の池上小百合係長は「今年の年明けから市全体で申し込みが急増した。共働きの父親が解雇されるなどして所得が急に大きく減ったことが申請書類からうかがえる」という。

新興住宅地の広がる京田辺市でも、この5年で就学援助率が倍増した小学校がある。教員として市内5校に勤めてきた市教委の総括指導主事、平舘成典さん(52)は「毎日、子どもを見ていると変化に気付く。遅刻が増え、朝食抜きや同じ服で登校するようになる。親が夜遅くまで働かざるを得ず、生活が乱れがちになる」と話す。

気になる家庭には夏休み中も教員がさりげなく電話をかけたり、近所の様子を見回ったりする。平舘さんは「全員が変わりなく、秋に登校してくれるといいのですが…」と気にかける。

昨年末、大阪との府境に近い小学校の6年と3年の兄弟が、クラスメートに別れも告げず転校した。学校関係者によると、父のリストラをきっかけに父母の仲がぎくしゃくし、心を痛めた6年生の長男が風呂場で自殺を図った。未遂に終わったものの父母は離婚し、幼い2人は他府県に転居したという。 =5回掲載予定です

【2009年8月2日掲載】