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重い学費 私立校生の苦境

滞納、退学 しぼむ未来
家計の苦しい仲間のため、私学助成増額の署名活動をする生徒たち。不況は生徒の夢や希望にも影を落とす(京都市東山区・四条大橋東詰)

 「もう学校をやめようか。わたしの学費が家の負担になるなら…」

 そう思い悩んだ2年前の夏を、私立の立命館宇治高3年の女子生徒(18)は振り返る。入学後まもなく家計が急変し、土日曜にレストランでアルバイトを始めた。年90万円になる学費を共働きで工面する親の負担を、少しでも軽くしたかった。

 中3の時に同高を見学し、先輩たちの自主・自立の気風にひかれて入学した。気が付けば、周囲には働く同級生が3、4人いた。別の私学の友人は、いつのまにか退学したと聞いた。

 府内では高校生の4割、約2万8千人が私立に通う。ある教諭は「私学の子はみんな裕福と思われがちだが現実は違う。『公立に落ちた』『部活が強い』など入学理由は多様で、家計の水準もさまざま」という。

 京都明徳高(京都市西京区)は、経済的事情から授業料を減免されている生徒が約100人と、府内で最も多い私立高だ。玉村一彰校長(48)は「今春は『入学金の支払いを待ってほしい』との要望まであった。しかも複数。かつてなかったことだ」と話す。

 授業料減免で収入の減った学校に対し、府が穴埋めする制度がある。しかし全額補てんではないため、減免者が増えるほど学校経営は苦しくなる。明徳高は、資産運用益を奨学金の原資に回すなどして生徒を援助しているが、そうした努力も「限界に近い」という。

 ある私立高生の母親(45)は、校内外の奨学金を調べた。「大半が卒業後に返すローン型。これでは18歳で借金を負わせることになる。申請はあきらめました」。府立高でも授業料減免の生徒(昨年度約5400人、全体の15%)は増えている。さらに私立の場合、学費の長期滞納や、それによる出席停止、転・退学が増えているとの指摘もあり、不況の影響は深刻だ。

 「僕たちの希望を奪わないで!」。7月20日、京都市内の繁華街で、府内7校の私立中高生約40人が保護者とともに手書きのメッセージを掲げた。

 私立校と生徒への助成金増額を求める署名活動。一時は退学まで思い詰めた立命館宇治高の女子生徒も、そこにいた。

 家計は厳しいが、何とか通学を続けている。「今、この時間もバイトに忙しい仲間がいる。代わりに私たちが何倍も声を上げなくては」。夢は、教育にかかわる職に就くことという。

【2009年8月3日掲載】