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所得格差 学力に影響

住民も協力 自習支援
夏休みに教員の指導で自習する生徒たち。教室が勉強できる唯一の場所という生徒もいる(京都市内の中学校)

夕方5時、京都市内のある福祉事務所に、教科書を持った中学生が1人、また1人とやって来た。ボランティア団体「京都BBS連盟」が週1回開く無料の自習支援教室。経済的に恵まれない子や近所の子が、高校進学を目指して通う。

 「ハァー」。問題を見た途端ため息をつく生徒に、同連盟会長の大学院生大場智紘さん(22)が答えのヒントを出す。お菓子や雑談で

緊張をほぐし、粘り強く考えるよう促す。「勉強ができないのではなく、やってこなかっただけ、と気付いてほしい」。3年前に始まった教室には毎年数人が通い、今春も高校合格者が出た。

 福祉事務所は「勉強部屋がない、家の手伝いに忙しいなど、学習に集中できない事情はさまざまある」という。

 家庭の所得の差が教育格差を生みつつある。文部科学省の昨年度の全国学力テストで、就学援助を受ける子が多い学校ほど正答率が低い傾向が現れた。最も顕著だった中3の数学A(基礎問題)では、援助率ゼロの学校の正答率68%に対し、援助率5割以上の学校では47%だった。

 京都市立小で2年前に始まった「放課後まなび教室」。地域住民の協力で児童の自習を支援しており、誰でも参加できる。

南区の小学4年の女児(9)は普段週2日、同教室に通う。高齢のボランティアに、宿題を見てもらう。

母親(40)は6年前に離婚し、生活保護を受けながら娘4人を育ててきた。学用品で思わぬ出費がかさむと、自分の食事のおかずを抜くなどしてやりくりする。今春、公立高に進学した長女に、まだ半袖シャツを買ってやれていない。

海や水族館に連れて行き、いろいろな体験もさせてやりたいが「交通費が工面できなくて…」。4月には、生活保護受給の母子世帯に上乗せされてきた母子加算が廃止された。そんな中で、無料で通える教室は「本当にありがたい」と話す。

ある京都市立中学校で先月、5日間の自習支援教室が開かれた。同校の就学援助率は毎年、市平均を大きく上回って5割を超える。教室は希望者対象で、学校独自の取り組みとして20年以上続く。

校長(56)は言う。「すべての生徒に高校に進学する力をつけさせる」。家庭の経済的な事情が次の世代の子どもたちに影響する「負の連鎖」を断ち切りたい。そう願っている。

【2009年8月5日掲載】