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歓喜の輪、京に広がる

「草の根支援」求める声も
文化庁移転決定のメールを確認し喜ぶ京都府職員ら(22日午前9時5分、京都市上京区)
文化庁移転決定のメールを確認し喜ぶ京都府職員ら(22日午前9時5分、京都市上京区)

 政府が文化庁の京都移転を決めた22日、京都の関係者からは喜びや歓迎の声が相次いだ。一方で今後の課題を指摘する意見も上がった。

文化庁移転決定

 京都府庁(京都市上京区)では午前8時すぎ、政府のまち・ひと・しごと創生本部事務局から、文化庁の京都移転決定を伝えるメールが府戦略企画課宛てに届いた。移転の規模や経費の地元負担などの詳細は今後の国との協議で定まる。同課の西村嘉高担当課長(49)は笑顔を見せながらも「これからが正念場だ。身の引き締まる思い」と緊張感をにじませた。

 京都市役所(中京区)では正午すぎ、「歓迎 文化庁の京都移転決定」と大書された大型看板(縦約1・2メートル、横約8・3メートル)が正面玄関に掲げられた。市役所前広場で除幕式があり、集まった多くの市職員らが大きな拍手で喜んだ。

 京都には数多くの文化財がある。文化財の維持に欠かせない選定保存技術保持者の森本安之助さん(53)=下京区=は「錺(かざり)金具」の技術で寺社などの修理に携わる。移転決定に「(文化庁は)文化財が多い京都にあるべきだ。京都府民にとって文化財は身近で、保護の意識も根付いている。京都に来れば、担当者と気軽に話せ、指導も受けやすくなるだろう」と歓迎する。

 臨済宗建仁寺派宗務総長の坂井田良宏さん(69)=東山区=も「巨大地震など自然災害も予想される中、耐震補強を含め、文化財を後世に残すための対応は急務だ。京都移転で文化庁の担当者には今まで以上に文化財の現状を見てもらい、社寺と地域との関わりについても考えてもらえれば、文化財保護の機運も高まるだろう」と話す。

 市民向けに音楽コンサートや絵画展を企画する住民グループ「サンサ芸術の杜」の徳丸國廣代表(68)=右京区=は「文化財の保全や活用、文化の海外への発信強化が期待できる」と評価する。ただ、「市民レベルでどんな効果があるかはピンと来ない」とも話し、「伝統的な祭りの継承や町並みの美化を担い、京都の文化を支えているのは市民たち。そうした草の根の活動への支援にもしっかり取り組んでほしい」と注文を付けた。

 京都国際マンガミュージアム(中京区)を訪れていた北区の石崎馨さん(45)は、文化庁移転の一報を聞いて「京都への移転で何がどう変わるのか」と首をかしげた。「漫画も含めて文化を広く守っていけるような文化行政が理想的。庁舎建設などに膨大な税金が必要。本来なら政府は相当な覚悟を持たないといけないのに、文化行政の拠点を東京や奈良でなく京都に置く理由が伝わってこない」と語った。

関経連会長「心から歓迎する」

 関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)は22日、文化庁を京都府に移転する基本方針が決まったことを受け「心から歓迎する。政府が率先して決断をされたことに深く敬意を表する」とのコメントを発表した。

 森会長は、情報通信技術(ICT)や交通網の発達で省庁や企業が東京にある必然性は薄れており、地方創生の観点からも移転は重要と指摘。「他の省庁や企業の地方移転のモデルケースとなってほしい」と要望した。

【2016年03月22日掲載】