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西陣児童公園の騎士像

静かに子 見守る
西洋風の甲冑に身を固めて公園を見守る像(京都市上京区)
 親子連れや小学生の楽しげな声がこだまする公園の一角。伝統産業のイメージが強い西陣には少し不似合いな西洋風の甲冑(かっちゅう)に身を固めた青銅色の像が静かに子どもたちを見守っている。腕が折れ、コンクリートがむき出しになっている姿が痛々しい。
 像が伝えるのは、昭和五十四年三月の建立年月だけ。像の名前もだれが何のために建てたのかも書かれていない。近所の人に聞いて分かったのは、像を建てた人は、公園の世話が好きで、地蔵のほこらを建てたり、桜の木を整備していたおじいさんだったということだけ。すでに亡くなり家族も西陣を離れてしまったという。近くで茶販売店を営む杉江政夫さん(八二)は「子どもを守ろうという願いをこめたのかも」と思いをはせる。
 西陣文化センターの今井潮美事務局長が八年前にまとめた本の中には、両腕を組んで胸の前でしっかりと剣を握る姿が紹介されている。どんな目にあって今の姿になったのかは分からないが、傷ついた像は、今も公園の入り口をしっかりと守り続けている。