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ワグネルの碑

産業指導、功残す
さまざまな分野で京都の工業界の基礎をつくったワグネル(京都市左京区・岡崎公園)
京都府立図書館の脇にある大きな石碑。その中央部、ひげをたくわえた男性が真っすぐ前を見つめている。ゴッドフリード・ワグネル(一八三一−九二)。ドイツの学者で京都はもとより日本の近代化に貢献した。
 幅四メートル近い碑文に彼の偉業が記されている。京都とのかかわりを読むと、一八七八(明治十一)年に京都府の招きで訪れ、理化学を医学校で、化学工芸を舎密局で教授した。さらに陶磁や七宝、せっけんや飲料の分野でも力を発揮。人材育成や産業の指導にも功を残したとある。人材育成の面では、島津製作所の祖・初代島津源蔵が教えを受けたのは有名な話だ。
 この碑は一九二四(大正十三)年、万国博覧会参加五十年の記念博覧会が岡崎公園で開かれた際、ワグネルの功績をたたえて建てられた。
 愛知県豊橋市から観光に来た本多恵一さん(六八)は碑文を追っていた。「ワグネル(Wagener)、作曲家ですか」。確かにドイツの大作曲家ワーグナー(Wagner)を、そう発音することもある。くしくも二人は同時代を生きている。