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乃木希典の胸像

温かい人柄伝える
乃木希典の胸像(京都市伏見区・乃木神社)
 深い森の広がる京都市伏見区の明治天皇桃山陵。その南西に、天皇に殉死した乃木希典・静子夫妻をまつる乃木神社がある。参道わきに、軍服姿の初老の男性の胸像。日露戦争の旅順戦や殉死という悲壮な史実と胸像の優しげなまなざしは一見、結びつきにくい。
 台座には「学習院長時代の乃木将軍」と記される。肖像写真を基に、現代彫刻家が制作した。
 乃木は一九〇七年、院長に任じられた。初等科に入学の裕仁親王(後の昭和天皇)に、勤勉と質素を求めた。親王は破れた衣類を新品に替えようとする侍女に「院長閣下はつぎのあたった服を着るのは恥ずかしくないとおっしゃった」とつくろいを頼まれた、との逸話が残る。
 乃木は学校の寄宿舎で生徒と寝食を共にした。風呂でひげに石けんの泡を塗り「白くま」と笑わせたり、剣道のけいこをつけ、水泳合宿や遠足に付き添った。
 むれ遊ぶ子らのしわざの面白く たまの河原にひと日暮らしつ
 多摩川への遠足の思い出を詠んだ。優しいまなざしと重なる気がした。