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広沢池の千手観音像

住民が花飾り世話
広沢池を見守る千手観音像(京都市右京区)
 広沢池の西に浮かぶ小さな島に、ずんぐりした体形のユーモラスな千手観音像がたたずむ。高さ約一・五メートル。目をつぶり、正面には合掌する手と玉のようなものを持つ手、左右に計二十四の手がある。由緒は池から二百メートル南の遍照寺に伝わる。
 同寺はもともと、池の西側一帯に境内があった。かんがい用ため池として平安時代に造られた広沢池には、同寺の重文・十一面観音像を安置した堂の建つ島があったが、江戸時代に消滅。一八九三年、現在の位置に島を再建するにあたり、仏様の不在に心を痛めた村人が、五智山蓮華寺(右京区)にまつっていた像を借り、安置したとされる。
 遍照寺の生石(おいし)和宏住職(五五)によると、作ったのは江戸時代の僧で、五智山蓮華寺に残る石仏群の作者と同一人物という。「石像はかなり流出しているようで、広沢池のものもその一つです」と語る。石像は欠けてしまっている部分もあるが、そばにはきれいな花が飾られており、住民がよく世話をしているのが分かる。「観音島」。愛情を込め、地元の人は島をこう呼んでいる。