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なすあり地蔵

白川の底から出土
白川沿いの小さなお堂の中にある「なすあり地蔵」。人知れず、よくさい銭が置かれている(京都市東山区)
 白川のせせらぎが聞こえる花見小路通の一角。小さなお堂の中に、赤い前かけを付けた地蔵が安置されている。お堂には朱地に金襴(きんらん)模様の布が飾られ、花や水が供えてある。
 近くに住む梶原慶三さん(七八)によると、地蔵は一九五四年に京都市が白川で水道管工事をした時に川底から掘り出された。その後、九八年に白川北通が全面改修されたのをきっかけに、住民がトタンぶきで新しい金具の付いたお堂を建てた。
 「なすあり」とは、地元学区の名称「有済」を逆さに読んだものだ。中国古代の歴史書「書経」が由来で、つらいことにも耐えしのんで努力すれば必ず報われるという意味だ。長い間、暗闇の中にいて、ようやく日の目を見た地蔵をたたえて名付けた。
 お堂には人知れずさい銭が置かれる。毎月欠かさず千円ずつ寄付する住民もいる。将来もっと大きなお堂を建てる時に備え、さい銭や寄付金を積み立てている梶原さんは、毎日お堂の周りを掃除しながら「地域を挙げて地蔵さんを守りたい」との思いを新たにする。