京都新聞TOP > 特集アーカイブ >
インデックス

大映京都撮影所跡の石碑

名作誕生の舞台
大映京都撮影所跡地の石碑(京都市右京区太秦多藪町)
 マンションのそばにひっそりとたたずむ石碑に「大映京都撮影所跡地 昭和六十三年八月」の文字が刻まれている。数々の日本映画の名作を生み出した撮影所の存在を示す碑だ。
 同撮影所の前身は、昭和初期に開設された日活の撮影所。新興キネマ、大都映画、日活の製作部門が一九四二年に合併して誕生した大映が引き継いだ。黒澤明監督の「羅生門」や溝口健二監督の「雨月物語」などが制作され、「日本のハリウッド」と評された太秦の象徴的存在だった。近所の女性(六八)は「俳優やスタッフたちが町を歩いて、にぎやかだった」と懐かしむ。
 その後、大映は経営難に陥り、七一年に倒産した。撮影所は貸しスタジオとなるなど縮小し、八六年に完全閉鎖となった。
 石碑は高さ約八十センチ、幅約一メートル、奥行き約三十センチ。現在、石碑周辺の撮影所跡地には、太秦中のほか住宅が建ち、面影はほとんどない。だが、一帯では三月に映画関係の多彩な催しが予定されている。邦画とともに歩んだ歴史を生かすまちづくりは、いまも続いている。