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輪形石

牛馬車の往来助け
竹田街道の交通の歴史を伝える輪形石(京都市下京区東洞院通塩小路下ル)
 会社員や観光客が行き交うJR京都駅前から少し東に歩くと、ビルの裏の静かな場所に、地蔵尊のお堂がたたずむ。お堂の前にある凹型の「輪形(わがた)石」が、京の玄関口で昔の交通事情を今に伝える。
 石は縦二十センチ、横五十センチ、奥行き二十五センチ。約四百年前、七条通東洞院から伏見に至る竹田街道は、洛中に米や塩を運ぶ牛馬車が盛んに往来した。道がぬかるみやすかったため、凹形の溝をつけた石を路上にレールのように並べ、牛馬車が通行しやすいように工夫をしたという。この敷石を地元の人たちは「輪形石」と呼んだ。
 道路の下で人々の暮らしを支えた石らしく、伝説も残る。夢のお告げで、村人が石の一つを掘り起こすと、裏にお地蔵さまの姿があった。その石は輪形地蔵としてお堂にまつられ、今も交通安全のご利益で知られる。
 傍らには下京区の観光モデルコースの看板も設置され、観光客も時折訪れる。静岡県から来た女性(三三)は「駅周辺にもこんな古いモノが残っているなんて、京都は奥深い」と話していた。