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今宮神社の常夜灯

みこし道しのばせ
住宅地の中に立つ常夜灯。かつて今宮祭のみこしが通った(京都市北区紫野上御輿町)
 千本北大路(京都市北区)の交差点から北に約二百メートルの地点から、南東に斜めに延びた道がある。通称「みこし道」。今宮神社(同区)の例祭「今宮祭」のみこしを指すが、今はみこしは通らない。この道が東に折れる場所に、三メートル以上はある大型の常夜灯が一基、鉄柵に囲われて立っている。
 「今宮大神宮」「往来安全」の文字と、秤(はかり)屋や米屋といった姓の町人らしい世話人十一人の名が刻まれている。同神社氏子総代の団体役員上野新三郎さん(六二)は「信仰にあつい氏子たちが、お参りする人や旅人の道中の安全を祈って参道に寄進したのだろう」と話す。
 五月の今宮祭で、かつて神社を出たみこしは、この道を経て御旅所に向かっていた。近くに住む大林博さん(七二)は「家が建って道は寸断され、みこしは千本通を行く。今ではみこし道の呼び名は地元の人にしか通じない」と話す。
 常夜灯ができたのは一八三〇(文政十三)年。当時、今宮祭は「南の祇園、北の今宮」と称されたという。常夜灯は、豪勢なみこし行列が通った「みこし道」をしのばせる。