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綜芸種智院蹟

私立校の歴史刻む
空海が開いた私学「綜芸種智院」の歴史を伝える石碑(京都市南区西九条池ノ内町)
 近鉄電車が駆け抜ける高架の下、西堀川通沿いにある西福寺の前に建てられた石碑が、真言宗の開祖・空海が開いた私立学校「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」の歴史を今に伝える。
 綜芸種智院は、唐で密教の奥義を学んだ空海が八二八年、藤原三守の九条邸に開設した日本最初の私学だ。官吏養成機関だったそれまでの大学や国学と異なり、庶民のために学校をつくり、種智(仏道・真理を究めようとする心)を広めようとした。空海の没後は後継者がなく廃絶した。
 碑は高さ一・三メートル。京都市歴史資料館によると、京都の織物商三宅安兵衛の遺志に従い、息子清治郎が府内各地に設けた石碑の一つで、一九二八(昭和三)年に建てられた。現在は、綜芸種智院があった場所は南東に約二百メートル離れたの九条弘道小学校の付近だったと考えられている。
 真言宗の根本道場、東寺には今も多くの観光客が訪れる。大阪市から来た男性(六六)は「平安時代にそんな自由な学校をつくるなんて、宗教者以外に教育者としての能力もあったんですな」と感心した様子で話した。

【2007年4月24日掲載】