京都新聞TOP > 特集アーカイブ >
インデックス

談所水

今も住民の心潤す
静かな流れを石仏が見守る談所水(京都市山科区)
 JR山科駅前から南西に入った、静かな旧街道沿いの一角。小さな石仏が見守る井戸が静かな音を立てている。この「談所(だんじょ)水」は古くから生活用水として地域の暮らしを潤してきた。
 「談所」は本来、僧侶の学問所を指す言葉。江戸時代に水不足に苦しんだ住民が、町内の護国寺の井戸から地中に管を通して水を引いたことに由来する。
 「上水道が通る前の昭和三十年代までは、そうめんを冷やしたりスイカを浮かべたりといった光景がよく見られた」。地元住民で作る「だんじょ保存会」副会長の清水富男さん(六一)は当時を懐かしむ。
 一九九六年に一度枯れてしまった談所水だが、九七年に保存会が結成され、同年、今の姿で復活した。今は飲用水としては使えないが、一時の涼を求め立ち寄る人の姿もある。保存会が設置した石仏も「近くの病院に通うお年寄りがお参りにきたり、掃除をしたりして下さっていることもあるようだ」と清水さん。
 生活用水から心を潤す場へ。談所水は姿を変えながら、今日も涼やかな音を立て、流れ続けている。

【2007年5月22日掲載】