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上田静一先生之碑

教え子が建立
恩師への感謝を込めて建立された「上田静一先生之碑」(京都市左京区田中玄京町)
 同和地区の子どもたちの学力向上を目指して造られた京都市左京区田中の市養正学習施設の一角に、「報恩記念 上田静一先生之碑」がある。経済的な理由や差別で学校に通えなかった子どもを夜学校で教えた上田をしのび、教え子たちが一九三七年に建立した。
 上田は一八八四年に生まれ、一九〇六年に京都府師範学校を卒業して田中尋常小学校に赴任した。当時、統計上では90%を超えるとされていた就学率も、田中地区では50%に満たなかった。家のために行商や工場労働をせざるを得ない子どもの姿に心を痛めた上田は、昼間は尋常小で教え、夜は二階建て民家の夜学校で二時間、教べんを取った。在任した約十年間で教え子は八百人以上に上った。
 妻とともに地区の生活改善にも取り組んだ上田は一九一七年、学校を退職して北海道への開拓団を組織する。慣れない農業は参加者の生活を豊かにはせず、結果として移住は失敗に終わった。しかし教育に取り組んだ青年教師の業績は今も養正小の子どもたちに伝えられている。

【2007年7月10日掲載】