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織田信長公塚石

彫っても消える?
辰巳さんによって丁寧に祭られている塚石(京都市伏見区・府伏見港公園)
 京都市伏見区の府伏見港公園の駐車場内にある。公園のある一帯は、かつて墓地だった。昔から、豊臣秀吉が信長追慕のために造った墓石といわれていたと、近くで米・酒販売店を営む辰巳正義さん(七一)が教えてくれた。文字を彫っても消えるなど、不思議な石として地元であがめていたという。
 一九四八年に墓地は畑になり、石は埋もれた。七年後、辰巳さんの父親が再び掘り起こし、「織田信長公塚石」として祭るようにした。
 六七年に公園が造られることになり土地は府の所有となった。政教分離の関係で、何度も石の撤去を要請された。父親が府知事と何回も掛け合い、引き続き公園内で安置できるようにした。父親が亡くなった後も、駐車場の拡張で移転などの話が出たが、すべて断った。
 石が、信長の墓石であるという確証はない。だが、辰巳さんは毎月一日、父親の月命日に合わせて、塚石で法要を営んでいる。「信長だけでなく、伏見の水害や戦乱で亡くなった人も弔うために守っていきたい」と話している。

【2007年7月31日掲載】