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迷子しるべ石

人と人の縁つなぐ
人と人の縁をつないできた「迷子しるべ石」(京都市中京区・誓願寺)
 観光客や買い物客が行き交う京都市中京区の新京極通にある誓願寺門前に大きな石柱が立つ。正面には「迷子みちし留遍(るべ)」と記されている。
 江戸末期から明治にかけては、迷子や尋ね人を探す手段として、石柱の片側に迷子の名前などを書いた紙を張り、見つけた人が反対側に紙を張って情報提供交換するという習俗があった。仲人を意味する月下氷人から、「月下氷人石」「奇縁氷人石」ともいわれ、京都では、八坂神社や北野天満宮にも残る。
 誓願寺の石柱は一八八二(明治十五)年に建立された。高さ二・七メートル、石柱の左側に「さがす方」、右側に「教(おし)し由(ゆ)る方」と彫られている。
 かつて、テレビドラマの撮影で生き別れの親子の話に使われたこともある。同寺本山課長の小島英裕さん(四〇)は「『愛の道しるべ』などともっとアピールできたらいいんですが、今では左側には壁が迫ってひっそり隅にたたずむ感じです」と笑う。石柱からは、自分の大切な人の行方を捜す人々の切なる思いが伝わってくる。

【2007年10月23日掲載】