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向島ニュータウン3街区 B棟の地蔵

善意に見守られ
20年以上、向島ニュータウン住民の暮らしを見守る3街区B棟の地蔵(京都市伏見区)
 入居開始から三十年が経過した京都市伏見区の向島ニュータウン。二の丸北学区にある百七十五戸の公団分譲の集合住宅の玄関わきに小さな社で囲われたお地蔵さんがある。高さ約五十センチ。まだまだきれいだ。
 京都の昔からの地域なら当然だが、ニュータウンにあるのは珍しい。「当時のB棟の管理組合の理事長が独断で作ったんやわ」と、現理事長の福井義定さん(65)。一九八三年、管理組合の予算から約三十万円を工面し、置いた。だが府外出身の住人が多く、今まで地蔵盆をしたことはない。
 地蔵は二階に住んでいた京都生まれの女性がずっと世話をした。前掛けを作り、毎日のように花を供え、手を合わせた。ところが、今年十月に引っ越しをした。女性は最後まで「誰が世話を引き継いでくれるのか」と心配しつつ、ニュータウンを後にしたという。
 「世話をしてくれる人を探しているのだが…」。福井さんが地蔵の前で悩んでいると、住人の大槻フサさん(83)が出てきた。鹿児島生まれ。「あと何年生きられるか分からないけど、ご近所の方を誘って世話をします」

【2007年11月6日掲載】