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七条署の像「明澄」

明るい社会願う
やさしいまなざしで見守り続ける「明澄」(京都市下京区・七条署)
 京都の玄関口、京都駅から三百メートルほど北にある七条署の玄関脇に、片手にトーチを掲げ、きりっとした表情でたたずむ若い女性の像がある。署員が「毎日見ているはずなのに、気にとめたことがなかった」と言うほど、植え込みに同化している。
 像の名は「明澄(めいちょう)」。一九六〇年五月、現在の庁舎が完成した時に、具象彫刻で知られ、芸術院会員で日展評議員だった松田尚之さん(故人)が制作した。礎石は、当時の府警本部長の書が刻んであるという。
 当時は、戦後の混乱がようやく落ち着きかかってきたころ。七条署管内でも、少年の家出やけんかが絶えなかったため、希望と平和の象徴として明るい社会の建設への願いを込めたという。
 当時、刑事事件で検挙・補導された少年は年間三百人以上。昨年度は百三十五人と半分以下に減った。
 しかし、子どもが関係する事件は各地であとをたたない。四十五年余り、やさしいまなざしで見守り続けた女性は今、また心を痛めているのかもしれない。