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巴屋のおはぎ

東寺
 毎月21日は東寺の縁日“弘法さん”の日だ。境内に1000余りの露天が所狭しと並び、10万とも20万とも言われる人々が1日で訪れる。フリーマーケットの元祖のようなもので、骨董、がらくた、着物、古着、たこ焼きや、焼き鳥など、縁日でイメージできる物は何でもある。

 雑多な境内の外側にも東寺の名物と言われる物がある。創業は享保年間=江戸時代から続くと言われる笹屋伊織の「弘法さんのどら焼き」、21日を挟み毎月前後3日間だけ販売される。東門には東寺餅。そして今回紹介する西門を出たところにある巴屋のおはぎ。
 創業20年と歴史こそ浅いが、地元の人なら知らない人はないというほどの著名店。それにしても目立たない。知らない人が表を通っても気がつかないというくらい控えめ。看板もなく、のれんもない、ちいさな吹き流し型の短冊に「巴屋」そして「営業中」の表記があるだけ。
 2月の弘法さんの昼前、しばらく表を観察すると、行列こそできなかったが、次から次というペースで、通りがかった弘法さん帰りと思われる人たちの二人に一人は必ず店内に入って、おはぎを購入していた。
 彼岸や弘法さんの日は1日千個以上を作る。前の日の夕方から炊き出した北海道産の小豆は朝までかかってようやく出来上がる。さすがにおばあちゃんは引退したが娘所帯とその息子所帯で餅米を炊き、おはぎをこねる。これも昼過ぎには売り切れてしまうという。
 20年前に石川県能登出身のおばあちゃんが(95歳)、郷里の味をとおはぎを作って近所に配っていたところ「あんた商売やりなはれ」という声に後押しを受けて創業したという。石川の味ということだが、お味は極めてノーマルで、ただおいしい。二つくらいはペロッといける。日持ちは当日中ということなので遠いところへのお土産には適さない。もちろん百貨店などへの出店もない。10個ほどを詰め合わせた持ち帰りが中心だが、弘法さんの日以外はイートインもでき、おはぎ2個とおうすのセットが500円で提供される。

お店情報

【巴屋(ともえや)】
営業時間 am10:00−売り切れ
定休日 水・木
〒601-8475 京都市南区八条内田町76 東寺西門前
電話075-671-7040