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[75系統]京都駅前−山越中町

終点近くに広沢池も
「葉書」の語源とされるタラヨウの木と印空寺本堂(京都市右京区)
 始点の京都駅から乗り合わせた右京区の主婦(五六)は、静岡県に帰省する際や雨の日によく利用する。「一本で京都駅に出られる便利な路線。市立病院に通うお年寄りや修学旅行生もよく見ますよ」。世間話を交わすうち、バスは西大路五条で北に進路を変えた。
 平日の昼下がりだったためか、乗客は十人程度でお年寄りが多い。カタツムリの殻のような外観の右京ふれあい文化会館を右手に見て、扇の透かし彫りが美しい宇田川橋を渡った。約四十五分で終点の山越中町だ。
 広沢池一帯は、嵯峨野歴史的風土特別保存地区に指定されており、晴れた日は森林浴すると気持ちいい。山越西町の印空寺には高さ約十五メートルのタラヨウがそびえる。葉の裏面に傷を付けると傷跡が濃く変色する。平安時代は文字を書いて伝えたため「葉書(はがき)」の語源とか。
 「押し葉にすれば十年は字の判読が可能」と樫田瑞天住職(七〇)。大切な人からの手紙は押して残したのかも。ただ「葉書」を試す心ない人たちにより低い枝は裸になっている。試すときは落ち葉を探してほしい。

 【メモ】 主な経路は京都駅前〜堀川五条〜市立病院前〜西大路五条〜山ノ内御池〜太秦映画村道〜太秦北路町〜山越中町。営業距離は往復ともに10キロ。平日運行回数24本。一日の乗客数は1273人(2004年度市交通局調べ)。