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大河ドラマ効果維持へ

放映終了後の集客に各地苦心
龍馬の命日に設置された像と写真撮影する家族連れ。ドラマの効果で若い女性層も多くみられた(京都市東山区・京都霊山護国神社)
 NHK大河ドラマ「龍馬伝」の効果で、今年の京都は幕末ブームに沸いた。来年は徳川秀忠の正室お江(ごう)が主役で、舞台の滋賀県は早くも活気づく。一方、これまでドラマの題材になった地域では放映終了後に観光客数は落ち込み、「大河効果」を維持する次の仕掛けも求められている。
 幕末の資料が豊富な霊山歴史館(京都市東山区)の今年の入場者は昨年比約4倍の30万人(11月末現在)を突破した。6年前の「新選組!」放映時の20万人を超す人気ぶりで、今月終了予定の特別展を来年1月末まで延長する。木村幸比古学芸課長は「ドラマは龍馬のあきらめない精神や新しい考え方が分かりやすく、平成版龍馬として若者に受けた」と分析する。

”資源“生かす連携必要に

坂本龍馬が三吉慎蔵とともに戦った寺田屋。「龍馬伝」効果で多くの観光客でにぎわった(京都市伏見区)
 寺田屋への来場が多かった伏見区では、伏見観光協会がバスの臨時駐車場を連日開設して対応した。竜馬通り商店街の土産店「龍馬館」は「売上高は去年の3倍。新選組の時は春先まで人が多かったので桜の時期まで効果が持続すれば」(南条良夫館長)と話す。

早くも観光客「お江」

来年の大河ドラマは浅井三姉妹がテーマ。早くも観光客がお江の供養塔を訪れている(京都市左京区・金戒光明寺)
 「お江」が主人公となる来年に向け、長浜市を中心に開かれる「江・浅井三姉妹博覧会」では歴史ドラマ館が今月25日に先行オープン。グッズ商戦も熱を帯びる。京都でも金戒光明寺(左京区)にあるお江の供養塔に看板が立ち、早くも観光客の姿が。お江の娘東福門院和子ゆかりの光雲寺(同)は1月から「京の冬の旅」に初参加し、遺品を特別公開する。
 地元の誘致運動が実った昨年の「天地人」では、上杉家の城下町・山形県米沢市で71億円の経済効果があった。集客が魅力のドラマの舞台に名乗りを上げる動きは各地であり、京都でも明智光秀と娘ガラシャで売り込もうと亀岡市など7市町が誘致組織を11月に立ち上げた。府は「光秀親子は北部から南部まで関係が深く、効果は大きい」(商工労働観光部)と期待する。

ブームを一過性にしないために

最近の大河ドラマの主人公と主な舞台
 ただ、課題は放映終了後にある。昨年にぎわった米沢市ではブームの反動を抑えるため、今年は4月に歴史施設「戦国の杜(もり)」を設け、9月に「戦国祭」を催したが、観光客は昨年比45%減。放映前に盛り上がった2年前よりも観光客は減り、「落ち込みは想像以上。終了後のリピーターをいかに作るかが難しい」(米沢観光物産協会)という。
 放映後、米沢の名所を巡る携帯電話スタンプラリーを企画した戦国グッズ企画販売「戦国魂」プロデューサー鈴木智博さん(36)=京田辺市=は「昨年の経済効果で米沢は観光に目覚めた部分はあった。集客は落ち込んだが、歴史コンテンツは多い。効果を持続させるには、さらに地元の力を集中することが重要だ」と話す。
 ブームを一過性にしないために、高知や長崎など龍馬ゆかりの7県でつくる「大龍馬恋(れん)」は放映後もPRの協力を決めた。11月に京都で開かれた8自治体による「龍馬伝サミット」では、高知市と長崎市が関連施設でのチケット相互割引を発表するなど連携は進むが、京都は加わらず、放映後の連携に課題を残した。
 歴史の長い京都は、大河ドラマにかかわる場面が多い。2012年は「平清盛」が決定済みで、誘致に苦心する他都市と比べて放映終了後のダメージは少ないといえる。だが、「恵まれすぎで努力していない部分はあり、他都市に学ぶ事例は多い」との観光産業関係者の指摘もある。
 お江も滋賀と京都はゆかりが深い。豊富な資源に甘えず、放映終了後にも広くドラマの効果を生かせる観光連携を見据える必要があるだろう。

【2010年12月15日】