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雨もまた良し 京都散策

コケ、アジサイしっとり 情緒増す
雨にぬれ、ひときわ色鮮やかになったアジサイ(12日、京都市右京区・二尊院)

 じめじめとうっとうしいこの季節。せっかく京都散策を楽しみたかったのに−と雨空にため息をつく人も多いだろう。でも、しっとりとぬれた社寺の庭のコケや花は、晴れの日とは違った風情があるもの。博物館や美術館を巡って伝統工芸や芸術に触れるのも、非日常に浸れる。梅雨ならではの京都の魅力を見つけに出かけてみませんか。

ゆったり庭見学、バスで花巡り 快適さ演出

雨上がりでしっとりとぬれたコケ。敷石とのコントラストが美しい(11日、東山区・東福寺)

 昭和初期の作庭家重森三玲(みれい)が手がけ、ウマスギゴケと敷石が市松模様を作る東福寺(京都市東山区)方丈の北庭。雨上がりのコケは、緑が鮮やかさを増し、モダンな対比が一層美しい。紅葉の名所でもある同寺は、青モミジも生命力に満ちている。研修旅行で訪れた松井正代さん(53)=静岡県=は「雨だし嫌だなと思ってたけれど、すごくきれいですね。心が洗われるようで落ち着きます」と話した。

 観光タクシーを手がける都タクシー(南区)は、雨の日によく案内する寺社として、東福寺▽智積院(東山区)▽相国寺(上京区)▽天龍寺(右京区)▽正法寺(しょうぼうじ)(西京区)などを挙げる。コケやモミジ、松など境内の木々の密集度が高く建物が広めで、ゆったりとした気分で庭を見られるのがポイントという。

 雨の日は普段より渋滞しやすいため、長距離の移動は避ける。乗降時の不快感を避けるため、傘は人数分用意し、客の傘を使わせないよう配慮している。

 アジサイやショウブなど6月に咲く花は雨が似合う。二尊院(右京区)を訪れた寺下紗也香さん(25)=東京都=は「せっかくなのでアジサイのあるお寺を調べて来た。このしっとり感は東京にはない」と熱心に写真を撮っていた。

 定期観光バスを運行する京阪バスは、キキョウが咲く時期に特別公開する東福寺塔頭天得院やアジサイ庭園がある三室戸寺(みむろどじ)(宇治市)など花を巡るコースを17日〜7月3日まで設定する。「目的地までぬれずに行けるので好評」という。

伝統工芸に触れて 着物レンタル、雨の日特典好評

上・着物に似合う和傘の貸し出しをしているので風情も壊さず散策できる(11日、下京区)
下・ほろとシートでぬれないよう工夫されている。雨の日の観光に役立つ乗り物だ(12日、右京区)

 雨の日は屋内で伝統工芸や美術に触れてみるのもおすすめだ。中京区の京都伝統工芸館や、左京区のみやこめっせ内の京都伝統産業ふれあい館には、陶芸や金属工芸、京友禅など京都の伝統産業の作品が並ぶ。職人による実演もあり、目の前で技術の粋を見ることができる。府内各地には予約すれば体験ができる工房も多い。

 しっとりとした風情をさらに演出してくれそうなのが、着物での観光だ。着物レンタル会社「和凛」(下京区)は「雨で残念という気持ちを少しでも和らげたい」と昨年から雨の日の特典を始めた。無料ヘアセットや和傘の貸し出しが好評で、以前は半分ほどあった雨の日のキャンセルが大幅に減ったという。

 意外だが、人力車も雨の日に活躍する乗り物だ。東山と嵐山で人力車を走らせる「えびす屋」によると、ほろを下ろし、ビニールシートを肩までかけるので、ぬれる心配はないという。

 嵐山で利用した女性(21)=神奈川県=は「本当にぬれず、すいすい進めて快適です」と笑顔だった。

ガイド本編集のコンシェルジュ 好みに合わせスポット提案

 ガイド本「京都旅行はコンシェルジュにおまかせ」を編集したホテルグランヴィア京都(下京区)のコンシェルジュ山本美砂さん(32)は「雨の日はどこに行けばいいか必ず尋ねられる」と話す。

 祇王寺(右京区)や大徳寺塔頭の高桐院(北区)、石塀小路(東山区)など竹やコケ、石畳の道など雨で情緒が増す14カ所を紹介するチラシを作り、ホテルで配布している。

 途中で休憩できる甘味処やカフェ、雑貨店も必ず伝える。「雨の日に実際に観光してみて、快適な行程を調べています」

 絶対にぬれたくないという人には、錦市場や二条城など地下鉄沿線にあるスポットを案内する。市内にはユニークな私設美術館や博物館も多く、展示内容を事前にチェックし、客の好みに合わせて提案している。