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工場見学 大人も夢中

ものづくりの町で産業観光

 地元で活躍する企業の施設を巡る「産業観光」が注目を浴びている。夏休みの自由研究にも使えそうな工場や資料館の見学や体験を通して、ものづくりの町・京都で観光の新たな一面を探った。

わかりやすく子どもにも楽しめる

缶コーヒーの製造工程を見学するツアー参加者たち(久御山町、コカ・コーラウエスト京都工場)

 多くの工場が集まる京都府久御山町では、生産現場を一般公開するケースも多い。子どもにもなじみの深いコカ・コーラウエスト京都工場では、見学ツアーの専門施設「エコラ館」が人気だ。

 シアターでは関西弁のキャラ「エコラちゃん」が飛び出す三次元映像でコカ・コーラの歴史を説明。米国での広告からサンタクロースの服の色が定番化した−など、こぼれ話も交えた映像は子ども向けで楽しめる。歴代商品のボトルや販売促進用のヨーヨーなど、懐かしの展示物は大人も飽きさせない。

 工場では、缶コーヒーをつくる巨大な水処理施設とタンクを見学する。円形の装置が旋回しながら飲料を缶に高速で詰め、ふたをする様子は面白く、工程を理解しやすい。見学後はジュースの試飲もあり、暑い夏にはぴったり。石川県から社員旅行で訪れた後藤将彦さん(36)は「きれいで、機械化されて人が意外と少ないのに驚いた」と話していた。

工程の複雑さ、迫力に感嘆

約3千点の機械工具が並ぶ工場施設。社員が種類や用途について説明してくれる(京都府久御山町・KTCものづくり技術館)

 機械好きの人には、近くにある工具メーカーKTC本社工場がおすすめ。「KTCものづくり技術館」でスパナやレンチなど工具約3千点が並ぶ光景は圧巻だ。工具を実際に使えるガレージも備え、自動車メーカーの研修にも使われるそうだ。

 すべての工具を一貫生産している工場では、鍛造から刻印、表面処理など、スパナだけでも23工程があるという。赤く焼けた高温の鉄を、地を震わせながらガンガンたたく鍛造機の音はまさに工場の醍醐味(だいごみ)。近くの日産京都自動車大学校から訪れた小澤翼さん(22)は「工具にこれほど手間がかかっているとは思わなかった。大事に使いたい」と驚いていた。

 全国的に工場は観光資源となりつつあり、愛知県のトヨタ自動車の工場は年間30万人が見学に訪れる。ただ、企業にとって工場見学は安全への配慮が不可欠な上、人件費や資料代などのコストもかかる面もある。それでも広がる背景を、KTCの宇城邦英社長は「商品の製造工程を知ってもらうことで、来場者にものづくりに興味を持ってもらえる。それが会社のファン作りのきっかけになるのでは」と分析している。

伝統産業や市場も 体験することで理解広がる

清水焼の校章に金箔を張り付ける百々小の児童たち(京都市山科区・京仏具小堀工房)

 京都では地域に根付く伝統産業や市場でも見学が楽しめる。京仏具小堀(下京区)は、山科区の工房と資料館を一般公開しており、海外から視察も多い。

 工房近くの百々小は毎年、児童が金箔(きんぱく)張り体験に訪れる。小堀進専務(62)は「仏壇は価値が分かりにくく伝え方が難しいが、実際に現場を見せると理解が広がる」と話す。

 白生地卸の伊と幸(中京区)は本社ビル内に「絹の白生地資料館」を昨年開設した。低迷する和装産業の魅力を発信するため、多彩な生地を展示する同館で、今夏は祇園祭に合わせて見学と白生地に紋を刷る体験を実施。御池通でビルから山鉾巡行を見下ろす新たな観光プランとして旅行会社も商品化した。

 京都市中央卸売市場(下京区)は、毎月第1土曜日に京朱雀市場を開催。普段は市民が入れない市場内を散策して新鮮な食材を購入できる人気企画だ。

 ただ、これらの見学では注意点も多い。安全面からも工場内では勝手な行動はせず、物を触らないのが基本ルール。写真撮影を禁止している工場も多いので事前確認が必要だ。

◆今回紹介した見学先◆

 コカ・コーラウエスト京都工場(久御山町田井新荒見)無料。定員50人。第1月曜日を除く月曜とお盆、年末年始は休み。同工場TEL0774(43)5522

 KTCものづくり技術館(同町佐山新開地)無料。定員20人程度。土、日曜、祝日、社休業日は休み。同館TEL0774(46)3959

 京都市中央卸売市場の京朱雀市場(京都市下京区朱雀分木町)入場無料。原則、毎月第1土曜日の午前10時〜正午。同市場TEL075(312)6564

 京仏具小堀の工房(山科区西野山百々町)工房見学のみは無料。金箔張り体験は有料。土、日、月曜休み。小堀本社TEL075(341)4121

 伊と幸絹の白生地資料館(中京区御池通室町東入ル伊と幸ビル4階)無料。土、日曜、祝日は休み。予約が必要。同館TEL075(254)5884

【2011年7月20日掲載】