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電動自転車で名所巡り 快適

渋滞でも大丈夫、レンタル人気
「きぬかけの路」を電動アシスト自転車で上る具足さん夫妻。長い坂も、余裕の表情だ(京都市右京区)

 京都が本格的な観光シーズンを迎えている。車の渋滞や人の混雑が悩みどころだ。観光客でにぎわう名所を巡る交通手段を探った。

 「自転車なら渋滞に巻き込まれない」と、好きな場所で受け取れ公共駐輪場など30カ所に乗り捨て可能のデリバリーレンタサイクル「京都ちりんちりん」(京都市上京区)に問い合わせた。

 「電動アシスト自転車がおすすめです」と大谷哲生代表。貸し出す店舗が増え、人気を集めているという。ちょうどレンタルした、会社員具足吉隆さん(49)と真理子さん(45)=堺市=は2年前の同時期、車で観光し、大渋滞に巻き込まれたという。「その次は自転車にしたら坂が大変だった。それからは電動。たくさん回れますよ」と教えてくれた。

 記者も、電動自転車で、東山エリアから嵐山を含む一日観光に挑戦することにした。レンタル前に、早朝から開門している清水寺(東山区)へ。午前6時半。さすがに人が少ない。拝観後、バスで自転車を受け取る百万遍(左京区)へ移動。渋滞はない。市交通局によると休日もこの時間帯は混まないという。

 午前8時過ぎ、電動自転車に乗り、長い坂がある山手の赤山禅院(同)を目指した。上り坂も驚くほど楽々で、40分に到着。近くの曼殊院(同)も人は少ない。銀閣寺(同)参道は修学旅行生が多いため、自転車を降りた。下鴨神社(同)は「参道は自転車禁止」で、参道手前に駐輪場があった。北大路通を走って、11時過ぎに大徳寺(北区)に到着、外国人観光客に人気の塔頭大仙院を拝観した。座って枯山水の庭を眺めていると心地よく、居眠りしそうになった。

「坂も余裕」笑顔

 昼食休憩後、午後1時過ぎ、龍安寺(右京区)を目指して出発。「きぬかけの路」のアップダウンも気にならない。下りは電気を切って節約走行だ。龍安寺の駐輪場で、電動アシストと普通の自転車という組み合わせで観光するカップルがいた。「初めて観光に使ったが、電動は坂も余裕です」と笑顔の榎愛さん(22)=大津市=に対して、水沼青波さん(22)=右京区=は「上りを必死でこいでいる時に笑顔で話しかけられた」と悔しげだ。「もう少し道が広く、寺社の自転車置き場が分かりやすかったら」と声をそろえた。

 通行量の多い車道を慎重に走り、3時に化野念仏寺(右京区)到着。一の鳥居で自転車を押す早川幸司さん(36)=神奈川県藤沢市=に出会った。「いつもレンタサイクルで京都を回るが坂はきつい。今度は電動を試したい」

 祇王寺(同)を拝観、夕暮れの嵯峨野の風景を楽しんで5時前、JR嵯峨嵐山駅前(同)駐輪場で乗り捨てた。25キロ以上の移動だがさほど疲れはなく、夜のライトアップも目指せそう。乗用車や歩行者への注意が必要だが、電動アシスト自転車を使った京都観光は快適だった。

電動バイク、遠出は厳しそう

 紅葉シーズンに多くの予約が入ると聞き、レンタルバイクのレオタニモト(京都市右京区)で、環境負荷の少ない電動バイクを借りてみた。

 阪急西院駅近くで借り、料金は8時間で4千円程度。谷本将崇社長は「渋滞知らずのバイクはこの時期動きやすい」とすすめる。スクータータイプの電動バイクは1回の充電の走行距離が約30キロ。音は静かでモーターは予想以上に力強い。西大路を北へ走って金閣寺や大徳寺を巡り、一乗寺方面へ向かった。

 主な社寺は駐輪場があり、スペースをとらないバイクは便利。ただ、山間の大原方面は往路分しか電池が持たなかった。利用は市内中心部の観光に限った方がよさそうだ。

車の流入防ぐ取り組みさまざま

昨年に続き、土日や祝日に臨時交通規制で歩行者道路としている嵐山の長辻通(右京区)

 京都市内では毎年、この時期の交通渋滞が課題となっており、車の流入を防ぐ試みに行政や民間が取り組む。

 紅葉の名所・東福寺(東山区)の最寄り駅がある京阪電気鉄道とJR西日本は、隣接する両駅での乗り換えを共同PRしている。JR京都駅から一つ目の東福寺駅で京阪に乗り換え、東山観光へ向かう人は年々増えており、昨秋の京阪東福寺駅の利用者は、紅葉ピークの5日間で前年比約5千人増の15万3千人に。階段を使わず乗り換えられる改札口も今月完成した。

 観光地の嵐山と東山では民間と行政が協力体制をとっている。19、20、23、26、27日の5日間、京都市や社寺、企業、住民でつくる嵐山交通対策研究会は午後1時〜5時、長辻通(渡月橋北詰め−新丸太町通)を歩行者天国とする。東山交通対策研究会も同時期に京阪清水五条駅−市営清水坂駐車場間、JR京都駅−東山五条間でシャトルバスを走らせる。

 周辺に駐車場を設け、公共交通機関の利用を促すパークアンドライドも広がる。京都市などは今年、河原町十条交差点南側の「鴨川パークアンドライド駐車場」などを開設。昨年比約1300台増の約4800台分を確保した。京阪は、浜大津の公共駐車場の利用で大津から京都に電車で誘導する取り組みを定着させている。京都市は「嵐山の歩行者天国は好評で手応えがあった。東大路などでは混雑もみられ、集中する今週末の状況を注視したい」(歩くまち京都推進室)としている。

【2011年11月23日掲載】