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社寺ウエディング人気

「京都が好き」海外カップルも
神前で結婚式を挙げるジョエルさんとエイミーさん。旅行がきっかけで京都が好きになったという(京都市北区・上賀茂神社)

 京都が好きだから、と京の社寺で結婚式を挙げるカップルが増えている。「由緒正しい社寺で新生活のスタートを」「結婚式と合わせて京都観光を楽しみたい」などが人気の理由だが、最近は、国内だけでなく海外の人もいるという。社寺やブライダル会社なども「和婚」などと称し、受け入れ態勢を整えている。

 美しい秋空の下、京都市北区の上賀茂神社でオーストラリア人のジョエル・サヴィジさん(26)とエイミー・マーフィーさん(25)が結婚式を挙げた。来日した親族40人が見守る中、着物の帯をあしらったドレス姿のエイミーさんたちは、神前で愛を誓った。英会話を学んだ神職の導きで、神道独特の儀式もスムーズに進んだ。

 二人は4年前、旅行で京都を訪れた。日本文化が濃く残る街並みが気に入り、世界遺産でもある上賀茂神社を挙式の場所に選んだ。当初は4月の予定だったが、東日本大震災のため延期した。「やめようとも思ったが、どうしても京都で挙げたかった。想像以上に素晴らしく、幸せ」と声を揃えた。宿泊先がホテルグランヴィア京都(下京区)だったため下京区役所で婚姻届を提出した。

 親族一同は、数日間滞在し、二条城や金閣寺を巡ったり、伝統工芸品の土産を買うなど、京都観光を楽しんだという。祖母のジョアン・マーチンさん(70)は「結婚式も京都のまちも気に入った。感動の連続で帰りたくない」とほほえんだ。

「世界遺産で式を」「親族で観光も」

両親に旅行をプレゼントしたいという思いを込めて、京都を選んだという吉田さん夫妻。「由緒ある神社で挙げられ二重の感動」

 京都ブームが後押しし、社寺で結婚式を挙げる府外や海外のカップルが増えている。上賀茂神社では、年間約700組が挙式し、5年前に比べると倍以上という。7割が府外から。外国人と日本人の組み合わせも多い。外国人同士のカップルが現れ始めたのは数年前から。「世界遺産で挙げたい。観光も一緒にできる」などが理由という。

 平安神宮(左京区)では、年間600組が挙式。5年前に比べ、府外の人が飛躍的に増え「非常に驚いている」という。高台寺(東山区)は今年、英語、中国語、台湾語、韓国語のパンフレットを制作した。「日本の心を伝えるきっかけにもなる」と、外国人の挙式誘致に積極的だ。

 ブライダル会社も、社寺での挙式プランニングに力を入れる。ワタベウェディング(下京区)は、2005年に本格的に取り組み始めた。「京都和婚」と名付けたプランを年間約200組が利用する。TNCブライダルサービス(中京区)では約300組が利用し「6割が府外のカップル」という。

 11月中旬、上賀茂神社で結婚式を挙げた吉田一直さん(28)と恵美さん(29)=北九州市=は、京都を選んだ理由について「両親と兄弟に、旅行をプレゼントするためだった」と明かす。恵美さんは「世界遺産で式を挙げ、みんなで京都観光を楽しめたので、本当に喜んでくれた。家族孝行ができたんじゃないかな」と話した。

披露宴に和傘や京扇子取り入れ

学生の目線で和の婚礼プランを提案した川口さん(左)と枝元さん=京田辺市・同志社女子大

 結婚式を京都の伝統産業復活に活用しようと、同志社女子大情報メディア学科の関口英里准教授ゼミ(消費文化)は、4年前からTNCブライダルサービスと連携し、学生たちのアイデアを盛り込んだ結婚式プランを提供している。

 毎年、2年生が取り組み、マーケティング調査をしながら約1年かけてプランを完成させる。1年目は「源氏物語」、2年目は「モダン文化」だった。

 3年目は、川口奈緒さん(21)と枝元美理さん(21)らが、茶道の精神を取り入れた「茶前式」をテーマに「京くらしっく」というプランを今年2月、提案した。「暮らし」「らしく」「クラシック」をかけたという。

 プランでは、披露宴の進行や両親への贈り物などに和傘や竹かご、京扇子などを使うのがポイント。職人を訪ね、作品を見たり話し合って決めたという。二人は「新たな人生を始める大切な場が、本物の京都の技術を知るきっかけになってほしい」と願う。

 「固定概念がないアイデアで面白い」と商品化も決まった。関口准教授は「和の文化と京都の伝統産業の復活、観光振興につなげ、うまく循環させたい」と話している。

【2011年12月7日掲載】