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夜の京都観光、バスでぐるり格別な趣

世界遺産など夜景を満喫

 イルミネーションが街を彩る季節になった。以前は「夜が早い」と言われた京都だが、寺社のライトアップの定着とともに、夜の観光に着目した動きも出てきている。京都・嵐山花灯路が開催中(18日まで)の京都市内で、夜間に運行する観光バスに乗車し、地元の人も楽しめる夜の京都の魅力を探った。

 冷え込む夜、下京区四条烏丸のCOCON烏丸前で「京都・観光よるバス」に乗り込んだ。烏丸御池や河原町御池を回って予約客を乗せ、午後8時20分ごろ、京都駅八条口から夜の観光へ出発した。

 バス内から夜景を楽しむ。最初は東寺(南区)。ライトアップされた五重塔に「わー、きれい」と歓声が上がった。左右両座席から見やすいようにバスは東寺の周囲を走った。五重塔と、京都タワー(下京区)、京都駅ビル(同)の新旧シンボルの対比も乗客の関心をひいた。

 堀川通を北上し、西本願寺(下京区)や二条城(中京区)など、世界遺産を通った後、バスは、今出川通を東進して、同志社大(上京区)から京都大(左京区)へ。ここでは時計台を眺める。名所では車内に音声ガイドが流れるが、地元の人しか知らないような多彩な豆知識が興味深い。

「昼とは違い荘厳な雰囲気」

ライトアップされた三門前で記念撮影する「京都・観光よるバス」の乗客たち。昼とはひと味違った雰囲気だ(京都市東山区・知恩院)

 同バスは、地元商店や京都大、京都市などでつくる「京都まちづくり交通研究所」(宇津克美代表)が昨年4月に本格運行を始めた。店が閉まるのが早く、夜の魅力が少ないと言われる京都観光の弱点を補い、観光客に京都の夜を楽しんでもらう狙いだ。

 事業に協力する平安神宮(左京区)や知恩院(東山区)では、特別なライトアップがあり、乗客はバスから降りて記念撮影ができる。帰り道は、祇園や顔見世でにぎわう南座(同)の前を通り、夜の街の雰囲気を感じることもできた。乗車料は約1時間半で1600円。

 大阪府豊中市から観光で訪れ、初めて乗車したという吉山武明さん(67)は「京都に泊まるので利用してみた。にぎやかな昼とは違い、夜の名所は荘厳な雰囲気で充実したコース」と満足顔だった。

 観光シーズンには多くの予約があるという。バスを運営する同研究所の清水彰事務局長(47)は「若いカップルや家族連れなど客層は幅広い。需要が増えればコースを増やしたい。地元の人たちにも一味違った夜の魅力を楽しんでほしい」と話している。

 木・金・土曜と休日の前日に運行している。予約制。京都・観光よるバスTEL075(662)1700。

お笑い、伝統芸能で宿泊増へ

舞妓による舞など、京都の伝統芸能を鑑賞できる夜の公演(京都市東山区・ギオンコーナー)

 年間約5千万人の観光客が京都市を訪れるが、市の調査によると、昨年の宿泊率は26・4%にとどまっており、7割が日帰り客だ。京都に泊まってもらうには夜の観光の仕掛け作りが必要だ。

 今年7月、祇園会館(東山区)内に劇場「よしもと祇園花月」が誕生し、京都の夜の過ごし方に「お笑い」という選択肢が加わった。土、日曜は昼の舞台が中心だが、平日は午後7時ごろから夜の舞台が楽しめる。テレビで人気の芸人が中心で、京都出身芸人の出演日は特に盛り上がる。ブラックマヨネーズ小杉竜一さんの舞台は満員で、白仁田佳恵支配人(40)は「知恩院や八坂神社など有名観光地に近い。夜のルートとして定着させ、観光客を呼び込みたい」と力を込める。

 京都の伝統芸能を鑑賞できる施設もある。弥栄会館(東山区)内のギオンコーナーでは、京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)が金、土、日曜と祝日の午後6時と同7時から冬季公演を実施している。舞妓の舞をはじめ、茶道、華道、琴などを一度に見られ、外国人観光客に特に人気が高い。

 夜の観光に着目した、東山と嵐山の観光イベント「花灯路」は、風物詩として定着し、昨夏に始めた「京の七夕」も今夏は宿泊者数が13万3千人と前年より約3割増えるなど、成果が出てきた。さらに「お笑い」や「伝統芸能」との連携を進め、内容を充実させれば京都の宿泊者はまだまだ伸びる余地がある。

【2011年12月14日掲載】