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学生アート、花開く成果

「若者のなまの感情」静かに表現
現代社会と若者の生をテーマにする水木さんと出展作(京都市中京区、京都市立芸術大ギャラリー・アクア)

 学生のまち京都は、アーティストをめざす若者たちも集い、切磋琢磨(せっさたくま)する。2月は学生の卒業制作や修了制作の展示が各所で行われており、春の草木の芽のような、フレッシュで勢いのある作品に触れるチャンス。世界に飛び立つ才能と、いち早く出会えるかもしれない。

 京都市中京区御池通堀川東入ルの京都市立芸術大ギャラリー・アクアで、同大学大学院博士課程に在籍する学生などによる「博士展」が12日まで開かれている。

 日本画や洋画、映像機器などを用いたインスタレーションなどさまざまなジャンルで14人が出展。作家として美術館やギャラリーで作品を発表している学生も多く、大学院での制作・研究活動の集大成となる作品が並ぶ。

 メディア・アートを専攻する水木塁さん(29)は、現代社会における若者の生と性をテーマにした。自宅で撮影した、どきりとさせる起き抜けの布団の写真と、法や監視の象徴であるフクロウを、壁と床に配置し、現代の若者の抑圧感を伝える。

 京都のクラブカルチャーの中で育ち、文化や性を抑圧する風潮の加速に作品で相対する。「若者のなまの感情を、静かに表現したい」という。アクアでの展示は終了したが、8日から市芸大で新作を発表する。

「地からわき上がる力」感じて

生命の力を表現した伊藤さんの作品(京都市中京区、京都市立芸術大ギャラリー・アクア)

 日本画を専攻する伊藤なおみさん(27)は、植物を題材にした日本画3点を出展した。一枚一枚描き込んだ花びらや葉っぱは「地からわき上がる力」を表し、「身近なところにある生命力の発露を感じてほしい」と話す。同、谷内春子さん(26)は「絵の中で、手で触れられるような感覚と、身体的な知覚の集まりを造形したい。大きな自然の抽象的表現として、日本の庭の表現と絵画の表現の類似に着目しています」という。

 担当教員の加須屋明子准教授(美学)は「博士論文に向けて、それぞれの研究活動や、なぜこの作品が生まれたかを記した資料も並べた。一通り鑑賞した後に資料を読んでもらうと、作品の見方も変わります」とアドバイスする。

 8日から、市芸大(西京区)と市美術館(左京区)で学部学生と修士課程の大学院生の作品展も始まる。「作品を見ることで、学生たちを応援してほしい。ギャラリートークなどで学生たちの話も聞いてもらいたい」という。

さまざまなジャンル、競演

会場の演出も担当する川田さん(写真右)と大塚さん。制作中の作品の前で=京都市左京区・京都精華大

 作家の個性が際立つアート作品以外にも、さまざまなジャンルの作品と手法で学生たちがアピールする。

 京都精華大は今年から、学生作品でまちを埋める週間「セイカウィーク」と名付けて、全学部・大学院の卒業・修了制作展などを開く。15〜19日に同大学(左京区)、京都市美術館本館・別館(同)、京都国際マンガミュージアム(中京区)、COCON烏丸(下京区)を会場に行う。

 京都市美術館本館でのビジュアルデザイン学科の展示は、「♣クラブ」と題して学生たちが宣伝や会場の演出、運営も卒業制作の一環として手掛ける。イラストや写真、デジタル技術を活用した空間作品やゲームなどさまざまなジャンルの作品が並ぶ。担当の川田千尋さん(23)と大塚文香さん(22)は「やっていることは、全部コミュニケーション。楽しんでもらえる空間にしたい」といい、「美術館ならではのレトロクラシックな装飾にまとめたい」と意気込む。

 立命館大映像学部は昨年からイオンモールKYOTO(南区)のT・ジョイ京都で卒業制作作品展示・上映会を行っており、今年は22〜24日に映画やドキュメンタリー、CGアニメ、ゲームなど71作品を上映・展示する。

 福住祥明さん(24)は、脚本・監督・演出・編集を担当した初の長編作品「OVER」を23日午後5時ごろから上映する。差別と偏見、人との断絶に苦しみもがく若者を主人公に、アクションシーンを交えながら、自分たちの世代が抱える閉塞感を表現した。「社会性を持ちながらも、楽しんでもらえる作品」を目指す。「互いに刺激を受けながら作品を作った。3日間、僕たちの勢いを感じてほしい」と話している。

京滋の大学・専門学校の発表会、多彩に

京都嵯峨芸術大
 ONEROOM 開催中〜10日 京都市右京区・京都嵯峨芸術大 クラブボックスを会場にした学内公募展と招待作家の大槻香奈さんによる展示「母なる水平線」

京都市立芸術大
〈博士展〉 開催中〜12日 京都市中京区御池通堀川東入ル・京都市立芸術大ギャラリー・アクア▽11日午後1時と3時、12日午後1時から小学生対象のワークショップ「電気耳」(当日受け付け)
〈作品展〉 開催中〜12日 京都市左京区・京都市美術館、西京区・京都市立芸術大▽12日(日)午後2時から京都市美術館本館で建畠晢学長と受賞学生によるギャラリートーク

京都教育大
 美術科卒業・修了制作展 開催中〜12日 京都市上京区・府立文化芸術会館

成安造形大
 進級制作展 9〜19日(13日休館) 大津市・市歴史博物館

京都精華大
 セイカウィーク 15〜19日 京都市左京区・市美術館、中京区・京都国際マンガミュージアム、下京区・COCON烏丸

京都工芸繊維大
 デザイン科学・造形工学・建築設計学の各専攻修了制作展、造形工学課程卒業制作展 15〜19日 京都市中京区・府京都文化博物館本館と別館

京都コンピュータ学院
 KCGアワード 19日午後1時から 京都市南区・京都コンピュータ学院京都駅前校 ゲームやアート、ロボットなどのプレゼンテーション

立命館大
 映像学部卒業制作作品展示・上映会 22〜24日(展示は23、24日) 京都市南区、イオンモールKYOTO T・ジョイ京都

大阪成蹊大芸術学部
〈卒業制作展〉 22〜26日 京都市左京区・市美術館本館
〈映像作品上映〉 25、26日 京都市下京区・COCON烏丸 京都シネマ 入場料500円

京都造形芸術大
 「万博 BANPAKU」卒業制作展・論文発表会 大学院修了制作展・論文発表会 25日〜3月4日 京都市左京区・京都造形芸術大 期間中に名和晃平さん、ヤノベケンジさんらのシンポジウム、トークイベントも

【2012年2月8日掲載】